「現職にやりがいを感じているか」という設問で日本が世界最下位
ビジネスパーソン向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を展開している米LinkedIn(リンクト・イン)が、世界26カ国・地域での同サービス登録会員のうち、企業の正社員に対するキャリア意識調査の結果を発表しました。
その結果によると、「現職にやりがいを感じているか」という設問に「同意する」と答えた日本人の割合は77%で、今回の調査の対象国・地域の中では最も低く、「同意しない」と答えた人は10%で、最も高い割合でした。
他国・他地域の傾向としては、「同意する」と回答した人の割合が高かった国・地域は、インド95%、マレーシア94%、ドイツ93%、インドネシア92%、米国91%、中国88%で、いかに日本人が仕事にやりがいを失っているかが露呈した格好となりました。
日本に生まれたことを感謝し、日本人としての使命を自覚すべき
この結果に対して、LinkedIn日本法人広報は「(日本の正社員は)控えめで希望を言い出せなくて、やりがいを実現できていないのかもしれない」とコメントし、その改善策として、キャリア開発の重要性を提言しています。私は人事制度コンサルティングの中でもキャリア開発制度の設計を最も重要視していますので、この提言には大賛成ですが、もっと大切なことがあると考えています。それは「使命感を持つこと」です。
「ノブレス・オブリージュ」という言葉があります。その意味は、「身分や地位には、それに応じて果たすべき社会的責任が伴う」ということです。日本という世界でも稀にみる恵まれた国に生まれてきたことは、幸運以外の何物でもありません。その恵まれた国に生まれたことに感謝の念を持ち、そこから生まれる「世界に対して貢献しなければならない」という使命を自覚することが、現代の日本人にとって最も必要なことではないでしょうか。その自覚さえあれば、日本はチャンスにあふれた素晴らしい環境であることを実感できるはずであり、仕事に対するやりがいは至るところで見つけられるはずです。
現代の日本人は、仕事のやりがいが見つからない理由を環境のせいにする風潮にありますが、そういう甘えた意識を卒業して、日本人としての使命について深く考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。
(福留 幸輔/組織・人事コンサルタント)