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深刻化する女性の貧困問題、対策は?

JIJICO 2014年9月12日 12時0分

女性(婦人)相談所に一時保護される女性が増加

生活が困窮し、頼る身内もなく行き場を失って女性(婦人)相談所の一時保護施設に一時保護される女性が増加していると報道されています。

女性相談所の一時保護施設とは、DVの被害者など保護が必要な女性を一時的に保護する施設で、各都道府県に設置されています。「帰住先なし」の生活困窮を理由とする保護を受ける女性は、昨年度3割を超えました。

女性の貧困の背景には、結婚後の働き方による負の連鎖がある

結婚を前提に「男は稼ぎ手。女は家(家事・育児・介護)。女性は働いても家計の補助」という固定的な性別役割分担意識が根強く残っています。そのため、女性は育児や介護などで仕事を中断しやすい傾向があり、また、税・年金などの社会保障制度(「配偶者控除」・「第3号被保険者」など)の影響で、年収を抑えた働き方を選択することとなり、パート・アルバイトなどの低収入で不安定な非正規雇用に就きやすい構造が見られます。

さらに、このような若い時期からの働き方の積み重ねの結果として女性の年金水準等は低く、特に高齢期の女性は経済的基盤が弱いと指摘されています(65歳以上の単身女性の貧困率は半数を超えています)。

このような背景の中で「結婚して夫が妻子を扶養する」という枠組みを離れてしまうと途端に貧困に陥ってしまうという現実があります。

非正規職員の正社員化促進や社会保障制度の見直しが急務

(1)雇用の男女格差による経済力の差を縮める。

約2000万人の非正規雇用者のうち、7割は女性が占めています。非正規労働者の正社員化を促進する施策の充実が必要でしょう。

(2)税や年金など社会保障制度の抜本的見直しにより、所得の再分配を行い、貧富の格差を小さくする。

現在の税・年金などの社会保障制度では、結婚して夫が稼ぎ、妻は専業主婦(又は低年収のパート)である場合、税制面で「配偶者控除」を受けられ、保険料なしで基礎年金を受けられる「第3号被保険者」というメリットがあります。これに対し、非正規雇用の単身女性であれば、少ない稼ぎの割に高負担の国民健康保険料や第1号被保険者の年金保険料を支払っている人も少なくありません。働いているにもかかわらず貧困というワーキングプアの問題も深刻化しています。

雇用対策とともに、ワーキングプアを減らし、手当てを増やすなど所得の再分配について、積極的な対策が急務といえます。

(中村 伸子/弁護士)

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