昼寝で睡眠不足を補うことは有効な手段
年々、日本人の睡眠時間は短くなる傾向にあります。ネットやSNSが定着した社会の風潮が、仕事以外にも多くの日課を作り、睡眠時間を短くしている状況なのかもしれません。
また、睡眠は、年齢でその質が大きく変わります。例えば、40歳を超えると、ぐっすりと眠れなくなり、45歳過ぎると、もう「ぐっすり」は諦めて、いかに気持ち良く寝るかに切り替える、というくらい短期間でも変化が起きます。ちなみに70歳くらいでは、深い眠りは全く取れなくなり、体内時計も大きくズレるようです。
こうした現状を考えると、1日24時間が変えられない以上、昼寝で睡眠不足を補うことは有効な手段といえるでしょう。昼寝の効果が見直されている今、安全性や社員の健康維持、仕事の効率を高める観点から、勤務時間内に積極的に取り入れる企業も出てきています。
昼寝は、12:00~15:00に20分以内が最も効果的
昼寝のタイミングは、第2の眠気の周期といわれる「12:00~15:00」が良いとされています。この時間帯は、昼食後、お腹が一杯になったから眠くなる、というのではなく、睡眠のリズムとして空腹でも強い眠気が訪れます。この時間帯に20分くらいの昼寝を取ると、脳が休息でき、午後のパフォーマンスが格段に向上します。昼寝は20分以内、長くても30分以内が最も効果的で、それ以上寝てしまうと深い眠りに入ってしまい、夜の睡眠に影響してしまいますので、要注意です。
もし、眠気がなくても、目をつぶって視覚からの情報を遮断するだけでも、ある程度の効果が得られるでしょう。昼寝の前には、コーヒーなどのカフェインを含む温かい飲み物を飲むとスッキリと目覚めることができます。さらに、寝覚めた後に1分程度、外の光を浴びると確実に覚醒します。
昼寝の姿勢は、横になるのではなく、椅子に座ったまま、頭を後ろの壁にもたれるような斜めの姿勢で、ひざが伸びるよう、足を低い台に乗せる格好が良いとされています。それが難しい場合は、机に伏せる姿勢でも良いでしょう。
正しい昼寝はパフォーマンスアップにつながる
ちなみに、福岡の県立明善学校では、数年前から昼寝が導入され、各学科で平均的に学力が上がった結果もあります。
「寝ずに頑張る」が美徳とされるのは世界的に見ても日本と韓国ぐらいです。もっとも睡眠時間が短い国は、毎年1位が韓国、続いて日本。こうした状況が続いています。「寝ずに頑張る」は美徳でも何でもありません。必要睡眠時間が確保できなくなってきている現代では、昼寝で睡眠不足の補充することが、結果、パフォーマンスアップにつながり、全体的にはプラスの効果をもたらすことは間違いないでしょう。
(荒井 信彦/快眠探求家)