文部科学省が「スーパーグローバル大学」37校を選定
9月26日、文部科学省は世界トップレベルの研究・教育を目指す大学に与えられる名称「スーパーグローバル大学」37校を選定しました。スーパーグローバル大学は世界の大学トップ100入りを狙う「トップ型(A)」と、日本社会のグローバル化を推進する「牽引型(B)」に分かれています。トップ型には旧帝大や早稲田・慶應大学が、牽引型には東京芸術大や国際教養大、東京外国語大学など、特色ある大学が選ばれました。
さて、このスーパーグローバル大学を目指すことに、どんな利点があるのでしょうか。私の教え子に上智大学や東京外国語大学に通っている学生がいますが、口をそろえて「外国の言語・文化と接するのが当たり前に感じるようになった」と話しています。
現代の日本ではグローバル化により、否応なく諸外国の企業・人材と競争する必要に迫られています。日本企業でも、「外国の会社と取引・提携する」「海外に進出する」などは当たり前に行われるようになっています。その際、相手先の国の言葉を理解し、文化・商習慣を熟知していた方がライバル企業よりも有利になります。このような外国の言語・文化・習慣に慣れておくことができるのが、スーパーグローバル大学を目指す利点の一つといえるでしょう。
国際化教育を受けた学生と、それ以外の学生という二極化が起こる
学生への影響があるとすれば、学生や教員の外国人比率が増えること、授業の多くが英語で行われるようになることが挙げられます。今までは外国に留学しなければ体験することができなかったことが、日本の大学でも行われるようになります。これは意識の高い学生にとって、大変喜ばしいことだと思います。高校生の時点で海外に興味を抱き、将来の目標もある人は必然的にスーパーグローバル大学を目指すようになるでしょう。
反面、「自分に自信がない」「ほどほどに楽しい大学生活を送りたい」というタイプの学生には、難易度の高い英語での授業は敬遠されます。結果として、「国際化教育を受けた学生と、それ以外の学生」という二極化が起きることになります。
また、個人的には企業の採用活動に影響が出ることを心配しています。今でも、商社などを中心に厳然として学歴社会は残っています。国際化教育の有無による二極化で、学歴重視での採用傾向が再び強まるかもしれません。「大学入学後に夢や目標を持った学生」にも、挽回の余地があることを願います。
前述しましたが、日本はグローバル化の只中にいて、これを避けることはできません。ならば、大学の国際化は日本全体に有益であり、優秀な学生の育成にも役立ちます。これからの高校生は、是非海外に関心を持ち、積極的にスーパーグローバル大学を受験し、海外で活躍できる人材に成長してほしいと思います。
(斉藤 秀雄/学習塾校長・講師)