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反対多い消費税率再引上げを実施するメリットは?

JIJICO 2014年10月6日 12時0分

66%の人が消費税率10%への再引上げに反対

2014年4月1日に、消費税率は8%に引き上げられました。さらに2015年10月1日には10%への引上げが予定されています。消費税率の10%への引上げについては、日経新聞(2014年9月18日)によると「地域創生『期待できない』48% 消費再増税、反対66%」で、66%の人が消費税率10%への再引上げに反対しているとあります。

では、消費税率の10%への再引上げをしなかったときのデメリット、すなわち消費税率の10%への再引上げを実施するメリットとは何なのでしょう?

再引上げができなかった場合、社会保障費関連の財源を失うことに

消費税率を基幹税にする理由には、近年の社会・経済の変化があります。少子高齢化による急激な高齢化と人口減少社会の到来、雇用環境の変化による非正規雇用者の増加、三世代同居の減少や高齢独居世帯の増加による家族の在り方の変容、少子高齢化による構造的経済の停滞などが原因で、所得税や法人税を基幹税として社会保障を実現することが難しくなってきたという背景がそれです。したがって、高齢化に伴い増加し続ける社会保障費を賄うためには、消費税率を引き上げることにより広く負担を求めることが適切だと考えられてきたわけです。そのため前回の消費税率の8%への引上げと次回の消費税率の10%への引上げ部分については、その使途を社会保障費に限定した目的税になっています。

二度の消費税率の引上げにより、増収になる金額は13.5兆円が予定されています。その使途については待機児童解消や医療介護サービスの充実、低所得者対策などの社会保障の充実に2.7兆円程度、そして年金国庫負担2分の1を維持するために2.9兆円程度、消費税率引上げに伴う社会保障支出の増加のために0.8兆円程度、高齢化等による社会保障の増加や安定財源が確保できていない現行の社会保障への対応に7.0兆円程度が予定されています。すなわち、消費税率の10%への再引上げができなかった場合には、これら支出が予定されている社会保障費関連の財源を失うことになります。

社会保障支出の更なる歳出削減が検討されることにもなりかねない

平成26年度の歳入予算は14兆7900億円ですから、消費税率を5%から10%へ引き上げたことにより見込まれる税収13.5兆円とほぼ同規模になります。消費税率を引き上げずに予定している社会保障費を賄おうとすると所得税率を倍近くに引き上げなければならないということになります。

また、安倍首相は10月1日の経済財政諮問会議で「社会保障支出も含めて聖域を設けず議論を進め、歳出抑制にしっかり取り組んでほしい」と表明しました。これは消費税率を10%に引き上げるということを前提にしての話ですから、もし消費税率を引き上げられないということになれば、社会保障支出の更なる歳出削減が検討されることにもなりかねません。それが消費税率の再引き上げをしなかったときのデメリットになるのではないかと思われます。

(久乗 哲/税理士)

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