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リベンジポルノで新法、期待と懸念

JIJICO 2014年10月14日 15時0分

新法案は、対象行為を広く設定し、刑事罰も重くする内容に

元交際相手のプライベートな性的画像などをインターネット上で公開する、いわゆる「リベンジポルノ」の被害を防止するために、自民党は「リベンジポルノ被害防止法案(仮称)」を国会に提出する方針と報道されました。交際が破綻した後、ふられた腹いせ等、リベンジ(復讐)の目的で、容易かつ被害が甚だしい媒体のネットに公開する事例が後を絶たず、被害防止対策が急務と認識されたためです。

リベンジポルノ被害防止法案(仮称)のポイントは、次の通りです。

(1)プライベートで撮影された性的な姿を撮影した画像などを、被写体に無断で、ネット上に流すなど不特定多数に公開する行為に対し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。
(2)不特定多数に公開する目的で、画像などを特定の知人などに提供する行為に対し、1年以下の懲役または30万円以下の罰金を科す。
(3)サイト管理者を通じた画像の削除に要する期間を、現行プロバイダー責任制限法では投稿者(加害者)に問い合わせた後7日間過ぎても返事がなければ削除しても責任を問われないと規定されているところ、2日間に短縮する特例を設ける。
(4)国と地方自治体に被害者の支援体制充実に必要な措置を義務づける。

これまでも、現行法の犯罪に該当すれば、刑事罰が適用されますが、解釈上、限定された内容でないと該当しなかったり、適用対象としては満たしていても罰則がそれほど重くなかったりと、増え続けるリベンジポルノに対して万能ではないと指摘されていました。その問題点をカバーするべく、新法案は、対象行為を広く設定し、刑事罰も重くする内容になっているといえます。

過剰に表現の自由を制限することにならないか十分な検討が必要

ただ、刑事罰を科す以上、対象行為を明確に特定できるための定義が必要であるところ「性的な姿」というのは、かなり広範囲にまで及ぶ可能性があり、過剰に表現の自由を制限することにならないか十分な検討が必要で、それらの調整に手間取る可能性もあると言われています。また、罰則等の規定が整ったところで、性犯罪同様、被害者の羞恥心から、警察等へ被害を相談するまでに時間がかかることも考えられ、法の適用にたどり着くまでの間にも画像が拡散して、被害が拡大する恐れもあります。

慎重かつ迅速に、そして支援体制の充実等、これからも検討課題はありますが、被害防止にとって大きな一歩になることと期待されます。さらに、リベンジポルノの危険性について世間に周知させ、被害に遭わないよう各自の自己防衛意識を高めることも重要であると思います。

(柳原 桑子/弁護士)

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