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地域の防犯対策にSNSを活用するメリット

JIJICO 2015年10月21日 14時0分

警視庁がSNSを利用した公開捜査で事件を早期解決

鉄は熱いうちに打てと言いますが、事件も同様に初動捜査と呼ばれる事件発覚直後の捜査が、事件を早期に解決するカギを握っています。この度、警視庁がTwitter(SNS)を利用した公開捜査により、事件を早期解決したことを発表しました。

警視庁によると、事件現場周辺の防犯カメラが捕らえた被疑者や犯行の様子を画像や動画で配信して情報提供を募ったところ、数多くの情報が寄せられたことで事件の早期解決に役立ったとしています。また、同Twitterにリンクされた警視庁刑事部のwebサイトでは、生々しい犯行の様子が公開されたこともあり、周知に拍車がかかったのでは、とする分析もあります。

SNSの特性と活用のメリット

SNSの大きな特徴として、24時間いつでもアクセス可能で情報を共有できる点が挙げられます。そして、その情報が興味深いものであれば、短時間で多くの人が閲覧してコメントを残すなど、コミュニティーの継続が期待できます。また、情報の発信者はコメントを残す人の受け答えに奔走せずに済むことも特徴でしょう。

つまり、警視庁の行った試みは、刑事ドラマなどで見る「聞き込み捜査」をSNS活用で簡素化し、情報収集を短時間で行ったことになります。また、電話などと違い、受け答えに対して多くの人員を配置する必要も無かったことが想像できます。

このようなSNSの活用には、匿名性という大きな利点と難点が背中合わせで存在しています。匿名性の利点は、「事件に関わりたくない」「いろいろ聞かれたら困る」など、通報を諦めてしまう意識を和らげ、より多くの情報を得ることが出来るでしょう。しかし、集まった情報は信憑性に欠け、いたずらなどが含まれる可能性から、情報を精査することが不可欠になります。うそやいたずらを見抜けなかった場合、捜査を乱す恐れがあることから慎重な情報精査が必要です。

また、従来の「聞き込み捜査(対面型)」と併用することで情報の信憑性が増していくと考えられ、私たち一人一人が事件に興味を持ち、協力することが早期解決に繋がっていきます。そして、事件を多くの人が知ることで「誰かに見られている」という意識を芽生えさせ、早期解決することで「逃げられない」という諦めから、犯罪を抑止する結果にも繋がるでしょう。

地域の防犯対策とSNSの活用

ここで、地域の防犯対策と警視庁の試みを比較してみましょう。まず、大きな違いはその目的です。地域の防犯対策では、犯罪が起きないようにすることが目的で、警視庁の試みは被疑者の検挙(逮捕)が目的です。次に、集まった情報の精査に要する専門知識の有無も異なるため、SNSの活用には注意が必要です。

地域の防犯対策でSNSを活用した場合、大きな利点として「情報の共有」と「注意喚起」の2点が挙げられます。情報の共有では、井戸端会議に代表される一時的なコミュニティーと違い、24時間アクセス可能な環境があるため、ライフスタイルに邪魔されることなく情報を得ることができます。

注意喚起では、小さなことでも日常の変化(見慣れない人の徘徊や動物の死骸など)を見逃さず共有し、注意を促すことで意識の向上が図れます。そして、情報の発信者を特定することで情報の信憑性を担保することが出来るでしょう。

しかし、地域の防犯対策で最も重要なのは目と行動です。目は歩行中や清掃・庭いじりなど作業中の自然な視線、行動は挨拶などの声かけや防犯パトロールです。つまり、地域の防犯対策(犯罪が起きないようにする)では「そこに人がいる」ことが重要になり、地域住民全体の協力が不可欠になります。SNSを地域の防犯対策に活用する場合は、防犯対策に役立つ道具の1つとして考えることが、最も有効な活用方法と安全な地域を作り出すことになるでしょう。

(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)

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