若年層の利用が非常に少ないNISAの現状
少額投資非課税制度「NISA」は、広い世代に投資を普及させる目的で創設された制度です。資産家優遇にならないよう「少額」投資に限定して投資利益が非課税となります。
しかし、金融庁が平成26年6月に調査・公表した「NISA口座の利用状況等について」によると、口座数は60歳以上が59.8%に対し、20代は3.2%、30代は7.7%で、買付額は60歳以上が64.9%に対し、20代は2.0%、30代は6.5%と若年層の利用は非常に少ない状況です。
若いうちから投資の勉強を始めるなら、NISAの活用は有益
同調査によると、若年層のNISA口座の利用(口座開設)を妨げている主な要因は以下の通り。
・資金的余裕がない(65.1%)
・認知度不足(31.8%)
・投資に対する理解不足(34.2%)
・投資に対するネガティブイメージ(33.6%)
多くの家計では「働く」ことが収入を得る手段の柱ですが、柱の数が少ないほど不安定になりがちです。収入を得る柱が複数あると安定度が高まります。金融資産投資もそのひとつです。収入手段を模索する中、自分に合う手段、興味がある手段が「金融資産投資」であれば、若いうちから少しずつ投資を始めて成功や失敗の経験を積み重ね、将来に活かしましょう。このことは何も投資に限ったことではなく、勉強や恋愛、仕事等にも通じるものがあると思います。その入り口として、1000円単位で始められるNISAの活用は有益です。
「4W2H」でわかるNISAの概要と活用法
NISAを理解してもらうために、制度の概要と活用法を「4W2H」を使って説明します。
【WHO】誰が利用できる?
20歳以上の国内居住者等であれば、誰でも利用できます。口座開設に費用はかかりません。本人確認書類の取得等の手続きも必要ですが、一部金融機関では住民票取得代行サービスを提供していますので、市役所等に出向く手間を省くことができます。
【WHERE】どこで開設できる?
銀行や証券会社、信用金庫等で開設できます。ただし、NISA口座はひとつしか持てません。株式に投資をしたいのであれば証券会社を選びましょう。選ぶときのポイントは「手数料が安さ重視」「コンサルティング重視」など。なお、NISA口座を開く金融機関は毎年変更できます。
【WHAT】何を買える?
株式、株式投資信託、不動産投資信託等を購入できます。預金、債券、公社債投資信託等は購入できません。
【WHEN】いつまで投資できる?いつまで非課税?
平成26年から平成35年までの10年間、毎年購入できます。つまり、最高で100万円×10年間=1,000万円。通常、利益に対して20.315%の税金が課税されますが、NISA口座では投資した年の1月1日から5年間、配当金・分配金、売却益が非課税に。安定した配当金・分配金狙いであれば、長期保有した方が非課税の恩恵をより多く受けられます。
ただし、投資は相場動向に左右されます。長期保有した結果、相場が下落して損失を被る可能性もありますので、ある程度、値上がり益が得られた時点で売却したほうが良い場合も。
【HOW MUCH】いくらまで投資できる?
1年間で100万円まで購入できます。しかし、例えば、今年80万円投資して、20万円の投資枠を使い残しても翌年に繰り越すことはできません。使い残すのはもったいないとも言えますが、余裕資金での投資が基本でしょう。
【HOW】どう活用する?
■安定志向
配当・分配金重視で投資信託を積立方式(例:毎月1万円)で購入したり、安定的に配当金を出す会社の株式を購入する方法が考えられます。
■成長志向
株価が割安な局面や、将来的な成長が期待できる会社の株式を一括して購入して値上がりを待つ、という方法も考えられます。
(益山 真一/ファイナンシャルプランナー)