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健康を害する「座りっぱなし」のリスク

JIJICO 2015年11月14日 18時0分

現代人の多くが座り過ぎ。死亡率や心臓病発症率が上昇

一昔前は、「人生の中で最も多くの時間を費やすのは『睡眠』」ということで、「毎日使う寝具にはお金をかけようという考え方」がありました。しかし、現代人においては、寝ている時間よりも座っている時間の方が長いかもしれません。

通勤中は車、電車などに座り、デスクワークの仕事をしていれば、勤務中も座りっぱなし。家に帰ってもテレビやパソコンの前に座ってダラダラ過ごし、気づけば午前様なんてことも。1日14時間以上も座っているのが日常という人もいるかもしれません。

1日に6時間座る生活を続けていると、たとえ日常的に運動をしていたとしても、1日に3時間しか座らない生活の人に比べて15年以内に死ぬ確率が40%増えるとのこと。また、デスクワーク中心の仕事をしている人は、立ち仕事が中心の人に比べて心臓病になる確率が2倍に高まるそうです。

「座る」がカラダに与える変化

座れば脳や脊髄から足の筋肉に送られる電気信号が滞って、代謝によるカロリー燃焼率が毎分1kcalほどまで下がり、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の中性脂肪の脂肪燃焼率も90%低下するとともに善玉コレステロールが減少します。また、座ってから2時間が経過すると善玉コレステロールが20%減り、24時間経過した後ではインスリンの効果が24%減って糖尿病のリスクが上昇することもわかってきました。

さらに、人体の解剖学的見地から見ると、椅子に座れば臀部(でんぶ)から後大腿部にかけて体重の圧迫を受けます。後大腿部には、太い静脈が通っています。その静脈は、総大腿整脈と、そこから分岐する深大静脈や浅大静脈が膝後ろへ走っています。それらの血管が圧迫されることで、血流が悪くなり、主に膝の裏側に血栓ができやすくなります。また、下肢に酸素や栄養が運ばれ難くなります。

1時間毎に立ちあがり、動く前に手軽なセルフケアを

リスクを回避する方法はただ一つ。それは「座る時間を減らす」ことです。このことついては、さまざまな研究結果が出ています。現代人のライフワークを見てみると、座っている時間が非常に長いため、「1日30分程の歩行運動で十分」という説は、もう机上の空論となってしまっているようです。また、特にデスクワーク中心の人は1時間に1回は5分程歩くのが必要とされる結果も出されています。

私が提案したいのは、下記の2つのことです。

■1時間毎に立ち上がる
そもそも、人間は長時間、座り続けるようにはデザインされていません。

■動く前に手軽なセルフケアを
長時間、座っている=臀部や大腿部後面は自分の体重+重力によって圧迫され続けているので、筋肉の癒着などが起こり、筋肉本来の滑走(伸縮性)を発揮できないままに運動してしまうのも考え物です。

なぜなら、臀部、大腿後面が使いにくい状態で動くということは、他の関節や筋肉に余分な負担をかけた状態で動く習慣をつけてしまうことになるからです。

まず、臀部、大腿後面、長時間の座位で固まってしまった股関節ぐらいはストレッチで伸ばしましょう。このことは、座りっぱなしのリスクの回避だけでなく、カラダの歪みを作らないことにもつながります。

(伊藤 勇矢/柔道整復師)

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