「体育会系」人気から垣間見える、企業が求める「人材像」
今、新卒採用において「体育会系」の人気が上昇しているそうです。体育会系といえば、いわゆる「体力がある」「根性がある」「礼儀正しい」「組織になじみやすい」といったステレオタイプがイメージされますが、そういった単純な理由だけではないようです。
「体育会系が人気」といっても、学生時代、ただひたすらスポーツだけをしていた学生が優遇されるわけではありません。いくら根性があっても礼儀正しくても、一昔前のように、クラブの先輩後輩コネクションで良い就職先にありつける時代ではないのです。
新卒採用に当たっては、多くの企業が学生時代の成績を重視します。そして、学業だけでなく、クラブ活動、社会貢献活動、インターンシップ経験なども評価対象にする企業が増えています。つまり、学業もおろそかにせず、かつ、学業外のクラブ活動等も積極的に行っていたような学生が重視されるのです。
自発的に行動できる意欲と能力が求められている
そういった学生たちのどういったところが評価されているのでしょうか。それは、一定基準の学力を持ちつつ、目的意識を持って何かの活動を行っている点です。言われたことをやるだけでなく、自発的に行動できる意欲と能力が求められています。
スポーツばかりで学業成績が芳しくなかった人や、遊びやアルバイトばかりで授業にロクに出ずに単位ギリギリで卒業した人のような、元々の頭の回転は悪くなくても、自ら目的意識を持って学生生活を送っていない学生は、就職活動において好評価は得られないということになるでしょう。そういう意味においては、大学時代が社会的な猶予期間(=モラトリアム)だった時代は、既に終わってしまったのかもしれません。
体育会系か文科系かといった二者択一の問題ではない
では、体育会系が就職で優遇されるなら文科系は不利なのでしょうか?いえ、そんなことはありません。先述の通り、自ら考え、そして行動できる力を持つことが重視されているのですから、目標を持って学生時代に文科系のものに打ち込んだ時間や経験は、就職戦線においてきっと立派な武器となるはずです。要は、体育会系か文科系かといった二者択一の問題ではありません。自信を持って大いに文科系での活動をアピールしてください。
企業が即戦力を求める時代、新規学卒に求められる能力は厳しさを増しています。就職活動中の学生の奮闘を祈ります。また、今から学生生活を始める人たちには、近い将来、自分のやりたい仕事に就けるよう、目的意識を持って楽しく有意義な学生時代を過ごしてほしいと思います。
(大竹 光明/社会保険労務士)