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中年化する「パラサイトシングル」が婚期を逃すワケ

JIJICO 2014年12月7日 10時0分

約300万人の「パラサイトシングル」が中年化

社会人になっても自分の収入を趣味や消費に充て、親に依存して同居を続ける未婚の男女に対し、親に寄生(パラサイト)する様が「パラサイトシングル」という造語で表現されました。

その後、2012年に総務省統計研究所の発表によれば、35歳~44歳の6人に1人、日本全体で約300万人とされる「パラサイトシングル」が中年化したという数字を叩き出し、その結果「パラサイト中年」という言葉が生まれています。当初は優雅な独身生活を楽しむ様子を揶揄した言葉だったのに対し、結果的に婚期を逃す原因となった事態は皮肉では済まされません。

楽な方へ楽な方へと向かう傾向が根底にある

もともと、「パラサイトシングル」という言葉が生まれた背景には、親離れ、子離れの問題が内包され、双方の依存で心の問題のように考えられていました。しかし、昨今は非正規雇用の増加で経済的余裕もなくなり、生活費にも事欠く事態が親と同居せざるを得ないという経済問題へと変化を遂げています。

「パラサイトだからシングルなのか」「シングルだから親に依存するのか」。鶏が先か卵が先かのような順番ではなく、将来の不安に蓋をし、人々が楽な方へ楽な方へと向かう傾向が根底にあると思われます。

「パラサイトシングル」はいつまでも子どものポジションのまま

多くの人を見てきた経験上、親の結婚生活が手本にならない、結婚そのものが魅力的でないという現実があるかもしれません。しかし、「パラサイトシングル」と呼ばれる人々は、自分で家族を持つという責任感を単なる負担と感じているような気がします。人を幸せにする喜び、人を愛する気持ちより、自分がわざわざしんどい思いはしたくないという自分本位の生き方を選ぶ人が増えているのでしょう。

居心地が良いか悪いかはともかく、無遠慮でいられる実家暮らしが誰かのために生きるという気持ちを削ぎ、自分で家庭を持ちたいという大人としての本能を億劫にしてしまいます。つまり、いつまでも子どものポジションなのです。

親子の愛では補えない、夫婦愛の魅力に気付いてほしい

過保護でいれば、守ることより守られることが大切になってしまいます。中年の独身男女は傷つくことを怖がっている臆病な人が多く、失恋なんてもってのほか。「パラサイトシングル」とは、実は怖がり屋さんの象徴です。また、過保護に育てられれば人は自分にも過保護で、つい楽な方を選んでしまいます。実家の居心地が良すぎれば、自分から家族をつくろうとしなくなります。

「パラサイトシングル」の人々には、親子の愛では補えない、夫婦愛の魅力にいち早く気づいてほしいと思います。家庭を持って家族のために働く。愛する人を幸せにし、身を粉にして人に尽くすという精神を、私たちは自分本位なあまり失ってきました。恋は辛いものでもありますが、成就した時には代えがたい幸福感が待っています。いくつになっても、恋は良いものです。

(村越 真里子/夫婦問題カウンセラー)

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