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高時給に惑わされない「ブラックバイト」チェック

JIJICO 2014年12月7日 12時0分

学生の約7割が「ブラックバイト」経験あり

「ブラック企業」ならぬ「ブラックバイト」で被害に遭っている人がいるといいます。市民団体「ブラック企業対策プロジェクト」は先日、残業代不払いやシフト変更を強いられる「ブラックバイト」の実態を全国23大学の学生へのアンケートで調べた結果、約7割が不当な扱いを経験していたと発表しました。

「バイトであれば何をしても構わない、どんな労働条件であっても構わない」と思っている経営者は少なくありません。しかし、これは大きな間違いです。バイトであっても、働き方によっては労働基準法や労働契約法、パートタイム労働法等が適用されます。また、雇用保険や社会保険に加入する必要も生じます。

例えば、1日8時間、週40時間という労働時間は守らねばなりませんし、仮に残業が発生した場合には、残業代を支払うのも当然のことです。採用の際には労働条件をきちんと明示する必要もありますし、簡単に解雇することはできません。有給休暇も「バイトだから」という理由では拒否することもできないのです。

ブラックバイト横行の背景に、使用者側の無知も

これらはまだ一例ですが、このようにバイトを取り巻く労働法制は割としっかりしているにも関わらず、なぜブラックバイトが横行しているのでしょうか。それは、働く側(バイト)も使用者側(会社、経営者)も、これらの労働法制をよくわかっていないからでしょう。特に、高校生や大学生のアルバイターの多くは、学校で労働法などの働く人の権利義務について習ってきていません。また、社会経験も少ない分、何の疑問も抱かず使用者の言う通りに働いているという実態があると思われます。

経営者が「そんな制度があるなんて知らなかった」「法律違反だと思わなかった」と言えば、それで済む話ではありませんが、まだ労働条件・労働環境の改善余地はあるでしょう。それに対して、違法なことを知っていてブラックバイトが横行していたら、それは「最悪な職場」です。では、働く側はそのようなブラックバイトの被害に遭わないために、どのようなことに気をつければ良いのでしょう。

時給に惑わされず、働くアルバイトスタッフを実際に見てみる

まず、これからバイトに応募する際は、時給だけで判断しないこと。最近では、アベノミクス効果もあってか多くの業界で人手不足感が強い状況です。そこで、時給を上げて人を惹きつけようとする傾向にありますが、意外と「内部の労働環境がめちゃくちゃ」という会社もあったりします。人手が少ない中で、バイトといえども過度に負担や責任がかかっていたり、シフトも急に変更させられたり、また、学生の場合にはテストがあるのに休みがとれなかったり、といったこともあります。

そこで、実際にそこで働いているアルバイトスタッフを「見る」ことをお勧めします。電話対応や接客態度が悪い、お店の雰囲気が良くないなど、実際に観察してみて感じることがあるでしょう。また、「見る」だけでなく、話を「聞く」ことができたらベストです。なにはともあれ時給に惑わされないことが肝心です。

入社前に労働条件の確認を。会社を選ぶ目を養うことも必要に

さらに、入社の際には、労働条件をきちんと確認しておくことです。求人広告と実際の労働条件が違うことはよくあります。1日の労働時間、週に入れる回数、休日、契約期間の有無、退職や解雇に関することをはじめ、「扶養の範囲内で働きたい」「テスト期間は絶対休ませてほしい」など、希望する条件も事前に話しておくことが大切です。そして、後から「言った言わない」となることを避けるために、各種労働条件が記載された「労働条件通知書」(労基法15条)を会社から発行してもらいましょう。通知書の中身に目を通すことは言うまでもありません。

すべての労使トラブルは、採用時から始まります。バイトも一労働者として保護される立場ですが、気持ち良く働ける会社を選ぶ目を養うことも必要になってきていることも事実です。

(三谷 文夫/社会保険労務士)

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