不快な感情を断ち切るには「気にしないようにすること」
私たちの日常生活は、残念ながら楽しいことばかりではありません。不快な出来事や不愉快な人に出会い、嫌な思いを引きずってしまうことがあります。この不快な感情を断ち切るために大切なのは、「気にしないようにすること」です。反応しやすい人でも、さらりと流すための考え方を取り入れ、身につけていく訓練をすることでストレスを減らすことができます。
例えば、人の集まる場所には、相手を不愉快にさせる人が一人くらいは存在するものです。わざと嫌なことを言う人は、攻撃しやすい人を見つけると、その人をけなしたり、皮肉を言ったりして気分を悪くさせます。そういう人は、相手をだしにして優越感を感じるという不幸な習性を持っているのです。そういう人の言うことにいちいち反応して気分を害することは、相手の思うツボ。心を乱されそうになったら、愛想笑いでもして、適当に返事をして軌道修正。自分のことに集中しましょう。
失敗は、考えすぎるとかえって不安を大きくしてしまう
また、自分が何かで失敗してしまった時も、気にし過ぎないようにしてください。私たちは失敗をすると、次は消極的な気持ちになってしまいます。「なぜ失敗したのか?」と問題点を振り返ることは同じ失敗を回避するために必要ではありますが、考えすぎるとかえって不安を大きくしてしまうこともあるため、最小限にとどめておいた方が良いです。
立て直しの上手い人は、切り替えが早く、自らを勇気づける習慣が身についています。ゴルフなどスポーツの試合の場面でも、引きずってミスを連発してしまうことが見られるでしょう。人生を限られた時間の中の真剣勝負と考えたなら、過去は引きずらない方が良いと理解できます。
知を磨き、新しい行動を積み重ねていく
長い間、忘れられない嫌な思い出がある人は、他者から不当に扱われ、自尊心が傷ついたたままでいることが考えられます。このままでは、セルフイメージが下がり、気力や行動力が奪われます。嫌な思い出のほとんどは、「怒り」や「悲しみ」という感情問題です。怒りを鎮静化させて建設的なものに昇華していくために必要なことは、知を磨くことと新しい行動を積み重ねていくことです。
知を磨くことには、不快な出来事をプラスに解釈する習慣づけや客観性を養うことが含まれています。そこに学ぶべきことがあるのだと思えれば、状況を受け入れやすくなるでしょう。さらに、新たな行動ができるようになると、つらい思い出は良い思い出に変わっていきます。失恋と新しい恋を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。
他者への期待はやめて、自分の可能性に期待をふくらませてみる
私たちは自分の望んでいたものと現実のギャップが受け入れられないと怒りを感じます。しかし、それは他者への期待や、他者が自分と同じような行動をとるものだという思い込みから生み出されたものでもあります。裏を返せば、自分も他者にとっては理解できない行動を取っていたのかもしれません。
「過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる。」という言葉を聞いたことはありませんか?結局、変えられないものを変えようとするのはエネルギーの無駄遣い。もう、他者への期待はやめて、自分の可能性に期待を膨らませてみましょう。うれしいことを山ほどつくるのか、被害者のままでいるのかは自分次第です。
さあ、今年も残りわずかとなりました。次の1年をどんな風に過ごすのか、イメージできてきましたか?
(北見 由紀/心理カウンセラー)