決意もむなしく、時間が経つにつれて徐々に薄れゆく意志
新年を迎え、一年の目標を掲げた人も多いでしょう。「今年こそは…」と、昨年と同じ目標を持つ人も少なくないかもしれません。
「今年こそは5キロ痩せる!」
「今年こそは禁煙する!」
「今年こそは結婚する!」
年の序盤は張り切って行動できるものの、時間が経つにつれて徐々に薄れゆく意志。「意志力」というのは、豊かになって多様な生き方ができる現代社会において、重要なヒューマンスキルのひとつです。
「頑張った自分にご褒美」には要注意
目標に向けて継続している最中、「頑張った自分にご褒美」には注意しましょう。「モラル・ライセンシング」といって、人は良いことをした後は、ちょっと悪いことをしても構わないだろうという気分になってしまうものです。例えば、ファースト・フードのメニューにサラダなどのヘルシーメニューを入れた場合と、そうでない場合とでは、ヘルシーメニューを入れた方が、注文総カロリー数が高くなるという実験結果もあります。
その根本として、人間が「良い」「悪い」で物事の色付けをしているがため、「良い」ことの後に油断ができるのです。そんなときは、「いや、永遠に同じ判断をしても良いのか?」と自問しましょう。
「明日から頑張る」は幻想。明日の自分も今の自分と変わらない
「明日から頑張る」という言葉も要注意。明日の自分が、まるで「万能な自分」になっているかのように勘違いしてしまうのです。自分のコピーロボットに同じことをやらせようとしても、そのコピーロボットは、あなたと同じようにサボったり、先送りにしたいと考えるでしょう。
決心するだけで満足してしまう「偽りの希望シンドローム」に陥るのではなく、明日の自分も今の自分と変わらないことを自覚して、目標が達成されたら何がどう嬉しいのか、リアルなイメージをメモに書いて携帯しましょう。
「しない」という目標を「する」目標に変換
「ピンクのゾウを思い浮かべない」。そう一週間にわたって意識し続けたとしたらどうなるでしょう。おそらく間違いなく「ピンクのゾウ」を思い浮かべてしまいます。人間は「しない力」はコントロールしづらいのです。
例えば「甘いものが欲しくなってもケーキを食べない!」→「甘いものが欲しくなったら梅干し一個食べる!」という感じで、「しない」という目標を「する」目標に変換してみると良いでしょう。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)