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松阪市「間伐材買い取り制度」は希望の光

JIJICO 2014年12月25日 10時0分

土砂崩れなどの自然災害を減らし、健全な山を育む「間伐」

三重県松阪市で来年1月から「間伐材の買い取り」を行うことが発表されました。利用目的は、松阪市が来年1月から稼働させる「木質バイオマス発電所」の燃料としてです。では、間伐材とはどのようなものなのでしょうか。

例えば、杉の場合は、まず森林として杉の森を作るために3000本近くの苗を植樹します。 植樹した木が柱などに使える大きさ、つまり木の最も細いところで18センチくらいまでに生育するまでにおよそ50年ほどかかります。これが全部きれいにまっすぐ育てばいうことないのですが、中には途中で曲ってしまったものや弱ったものが生育してきます。そのため、途中の、まだ柱などには使用しづらい大きさのもので曲ったものなどを伐採することを「間伐」といいます。そこで伐採されたものが「間伐材」というわけです。

間伐には、しっかりとした材木用の木を生育させることのほかに、もう一つの意義があります。それは「山の保全」です。植樹した3000本すべてが育ってしまうと、地表面に日光が届かず、それぞれの木々の生育も鈍くなり、根張りも悪く、また下草なども生育しにくくなるため山の保水力が保てず、大雨時には土砂崩れなどを引き起こす可能性が高くなります。こういった山で起きうる自然災害をなくすためにも間伐は必要なのです。

三重県の森林資源の拡充と林業の発展に大きく期待できる

ただし、間伐にも費用がかかります。その費用はおおよそ1立方メートル当たり2,000円~7,000円ともいわれ、生育して市場に出るまでにかかる期間と労力を考えると、林業で生計を立てるにはかなりの出費となってしまい、放置された山林が増えているというのが現実です。

それらの間伐材を1トン当たり6,000円、つまり1立方メートルで考えると、おおよそ4,000円前後で買い取るという松阪市の発表は、今後の三重県の森林資源の拡充と林業の発展に大きく期待できるのではないでしょうか。

適度に大気中のCO2を削減してくれる効果も

松阪市が推進する「木質バイオマス発電」は、間伐材を燃焼させてできたエネルギーで蒸気タービンを回し、発電し余った熱は何らかの形で利用することができる発電施設です。この燃焼によって生じたCO2(二酸化炭素)は、もともと木材が光合成のために吸収したCO2なので、CO2を排出しているわけではありません。また、伐採した樹木の量が成長期にある樹木の量を超えなければ、適度に大気中のCO2を削減してくれる効果があるのです。

間伐材を輸送する距離が長くなってしまえば、輸送時に排出されるトラックからのCO2などが増えてしまうため元も子もありませんが、今回の松阪市の案であれば市に登録された事業者が対象のため、近距離輸送で対応が可能なためその心配もないでしょう。

今回の松阪市の取り組みは、「里山保全」「林業の活性化」、そして、「地球温暖化防止」と深刻な問題となっている現在の環境保護に、希望の光をもたらしてくれるものになると期待したいと思います。

(松林 秀典/一級建築士)

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