内定までの道のりは自身が成長する期間
人材サービス会社の調査によれば、子どもがいる専業主婦の80%以上が働きたいと考えているものの、仕事から長く離れていることや育児との両立などに不安を感じていることがわかっています。国や自治体には両立支援の強化や不安解消に向けた取り組みが求められますが、仕事に関してブランクがある専業主婦自身にも、再就職に向けた心構えを持つことが重要です。
内定までの道のりは「厳しい期間」だと理解する必要があります。しかし、同時に自身が「成長する期間」でもあります。そこで、自身のキャリアの棚卸しを行います。自分を分析して理解すれば、仕事を選ぶ際も役立ち、再就職にあたって自己PRにもなります。
また、キャリアの棚卸しをすることで職務経歴書が書きやすくなり、面接での準備にもつながります。自分がこれまで歩んできた人生を「可視化」し、過去の出来事に意味付けする作業は、自分自身のキャリアと向き合い、自分を理解する非常に有効な手段の一つです。
他者からの意見を受け入れ、自己理解を促す
次に自己開示をして他者に評価してもらいましょう。就職には、必ず面接試験があります。求人企業は履歴書、職務経歴書では判断できなかった求職者の適正や能力を見極めるため、面接という機会を活用します。その時に自分に知らない能力や経験、つまり長所をうまく伝えることができずに終わってしまえば、せっかくのチャンスを無駄にしてしまします。
それを避けるため、他者に対して積極的に自分を自己開示し、他者からのフィードバックを受け入れる心を持つことが大切です。他者からの意見をよく聞き、自分が知らない部分を小さくすること。中には不快に思う意見もあるかもしれません。しかし、複数の同意見を他者から受けた場合は「そう見える自分もいる」と、自己理解を促しましょう。
「興味」「関心」「好奇心」を持ちながら情報収集を
最後に、仕事を理解することです。今までやってきた仕事の経験だけにとらわれ、「これしかできない」と仕事を限定して探したり、「やったことがないから」と未経験の職種を避けたりせず、ブランク期間に経験したこと、身につけた力を生かせる仕事について考えてみましょう。
新聞を毎日読むだけでも、仕事を理解する上で役立ちます。また、求人Webサイトや求人情報誌、ハローワークの求人情報等を確認し、どんな仕事がどんな条件で求人しているか、とにかく仕事を理解する上で「興味」「関心」「好奇心」を持ちながら情報収集することが大切です。
育児などのブランク期間の経験が仕事に関係ないと決めつけない
また、再就職に必要なスキルとして一般的に「パソコンが使える」「資格を持っている」など、仕事に直接関わるスキルを思い浮かべます。しかし、最も重要なのは「集中力がある」「細かいところに気がつく心配り」「分け隔てなく話しかけることができるコミュニケーション能力」「とっさの時の判断力がある」などの「ヒューマンスキル」を有しているかどうかです。
育児などのブランク期間の経験を仕事には関係ないと決めつけず、その経験を仕事の場面でどう生かせるかを考えてみることで、今の自分のスキルや強みとして他者に伝えることができるようになるでしょう。
(棚田 浩史/人材コンサルタント)