有給休暇は、法律で決められた労働者の権利
労働基準法第39条に明記されている労働者の権利「年次有給休暇」(有給休暇の正式名称です)。シンプルに言えば「勤続年数によってもらえる日数が増えて、休んでも給料がもらえる休暇」のことですが、きちんと条文まで読んで内容を理解している人は少ないかもしれません。
まず、有給休暇制度について大切なポイントを押さえておきましょう。
1、正社員だけでなくパート・アルバイトでも勤続年数や出勤率によって取得できる
2、労働者の希望する日に取得できる(ただし、事業の正常な運営を妨げる場合を除く)
3、会社に有給休暇をどのように使うかといった理由を言う必要はない
有給休暇を取る1~2か月前から同僚や上司に伝える
日本における有給休暇の取得率は48.8%と、他の先進国に比べて著しく低くなっています(平成25年厚生労働省)。どうして有給休暇が取りにくいのでしょうか。例えば、「ギリギリの人数で仕事を回しているため、仕事量が多すぎて休暇を取りたいと言い出せない」といったように、職場環境に原因があることは否めません。
しかし、適切な休暇を取ることは、労働者本人だけでなく結果として職場にも良い影響があるといわれています。誰もが気兼ねなく有給休暇を取れるようになるために、働く人側からできるアプローチを考えてみましょう。
実際に休暇を取った場合でも、定期的にメールチェックを
次に、自分が休んでも上司や同僚が困らないように、自分ができる最大限の範囲で仕事をこなし、休暇中の業務引継ぎができるようにしておきましょう。そうした準備をすることで、休暇を請求する際に上司を説得しやすくなります。
さらに、実際に休暇を取った場合でも、定期的にメールをチェックするなど、緊急事態がないかはチェックしましょう。このことは上司や同僚に安心感を与え、次に休暇を請求しやすくするための布石にもなります。
上の立場である人間が上手に有給休暇を取り、手本を見せる
最後に、あなたが職場内で上司の立場あるいは何らかのチームリーダーになっている場合は、あなた自身が率先して有給休暇を取りましょう。上の立場である人間が上手に休暇を取り、手本を見せることが、部下の有給休暇取得率をアップさせる一番の近道です。
休暇を取るために周到な下準備や交渉が必要というのは、何だか本末転倒な気もしますが、働く人たちが協力し、気持ち良く休暇を取れるような職場づくりを進めていくことが大切です。
(大竹 光明/社会保険労務士)