コンビニ大手のローソンが店舗改革に「積極改革」を掲げる
コンビニ大手のローソンが、今後の店舗改革の柱として、「接客改革」でライバルと差別化することを掲げています。これまでコンビニ業界は、「立地」や「品ぞろえ」に主眼をおいた戦略が主流で、あまり「接客」には力を入れてきませんでした。しかし、コンビニの数はすでに飽和状態。これからは、多業態より伸びしろのある「接客」が、「立地」に代わって差別化のキーファクターになってくることは間違いありません。
ただ、全国で1万店を超えるローソン店舗の接客レベルを、一様に上げていくのはそう簡単ではないでしょう。理想の接客を具現化できるスタッフを、現状、十分に確保しきれているとは言いがたいからです。
大都市圏の店舗の多くが、「接客改革」に着手する段階にはない
近年、大都市圏の小売・流通サービス業は、少子化と景気回復による人手不足で賃金が高騰しているため、時給の安いコンビニはアルバイト先として敬遠されがちです。そのため、日本人はおろか、中国人、韓国人の応募も激減しているといいます。最近のコンビニスタッフは、仕事の選択肢が相対的に少ない、ベトナム人とネパール人が主流になりつつあります。それも、カタコトの日本語しか話せない応募者でも採用しているそうですので、実は大都市圏の店舗の多くが、到底「接客改革」に着手できるような段階にはないのです。
また、コンビニで働く外国人スタッフの多くは、大学や専門学校に通う留学生です。彼らは、在留資格の制約で1週間に最大28時間までしか働けないうえ、その多くが卒業後に帰国してしまうため、長期戦力として育成することが難しいのが実情です。
優秀な人材を安定的に採用できる仕組みを、いかに構築できるか
では、どうすれば優秀な人材を安定的に確保できるのでしょうか。私はスタッフの研修制度を、今より格段に充実させることが、一つの解決策になり得ると考えています。外国人留学生共通の特徴として、利に聡く、打算的な判断をする傾向が強いことが挙げられます。そのため彼らは、何か大きなメリットがあると思えば、多少時給が安かろうが、仕事がハードだろうが、必ず興味と目的意識を持ってチャレンジしてきます。
「ローソンで仕事をすれば、将来、自分が経営者になったときに生かせるノウハウをたくさん学べる」。こうした口コミが醸成できれば、特に外国人は優秀な人材が集まってくるはずです。正社員並みの研修制度によって、ローソンスタッフの仕事が一つのキャリアとして認知されるほどのブランドイメージをつくり上げるのです。
また、上位の外国人留学生は、多くの面で日本人学生より圧倒的に潜在能力があります。彼らのモチベーションを上げ、しっかりとした教育を施せば、貴重な戦力になることは間違いないでしょう。コンビニは、サービスの主体であるスタッフの入れ替わりが非常に激しい業態です。ローソンの「接客改革」のカギは、優秀な人材を安定的に採用できる仕組みを、いかに構築できるかにかかっているのです。
(千葉 祐大/グローバル人材コンサルタント)