主婦の再就職、「あと1時間」「あと1日」がネックに
大手人材会社の調査によると、主婦が働きたくても実際には働いてない理由として、「希望する就業時間の求人が少ない」ことが真っ先に挙げられるそうです。
よく見る求人の例として、「週3日以上」「1日4時間以上」という募集があります。企業がそうした条件を設定する理由は、ある程度の時間を確保することで業務の引き継ぎや同僚とのコミュニケーションをスムーズにするためです。働く側にとっても時間の確保が給与増につながり、企業側にも「即戦力」になるという双方のメリットを考えての求人条件設定なのです。
しかし、主婦には「子どもが登園・登校中だけ働きたい」「子どもの習い事や学校行事の日は休みたい」などの事情もあり、週3日、1日4時間の勤務が難しく、就業を断念することもあります。あと1時間遅く始業であれば子どもの登校後に出社できる、週2日であれば家事と両立できるなど、「あと1時間」「あと1日」がネックとなっています。
人手不足のサービス業を中心に「超時短勤務」の職場が増加傾向に
そうした状況を受け、実際に人手不足のサービス業を中心に「週2日以上、1日2、3時間以上」と、さらに短い時間でも働くことができる「超時短勤務」の職場が増加傾向にあります。外食産業ではランチ時間帯だけの勤務、流通業ではお中元・お歳暮、年末などの繁忙期の短い時間などです。また、事務職でも繁忙期の書類整理や入力業務で超時短勤務を取り入れる会社もあります。
企業側のメリットは、人材不足が解消できることです。主婦にとっては、社会との接点ができ、やりがいにつながります。生活のリズムも整い、生き生きと働くことで家族との関係も良好になる人も多いものです。
「超時短勤務」で働く場合の注意点は
一方で、注意しておくこともあります。時間当たりの成果と同僚や上司とのコミュニケーションを工夫することです。
短時間であっても職場の一員であることには変わりはありません。短時間だから責任が軽くなる、というわけではないのです。集中して時間内に成果を出すようにしましょう。また、欠勤や遅刻がないように気をつけましょう。1か月20日勤務で1日休むよりも、1か月8日勤務の1日休んだほうがダメージは大きいものです。「今日の分は明日やります」ができないことも多く、「出勤日が少ないうえに休みも多い」という目で見られてしまいます。子どもの病気時に預かってくれる先を探しておくなどの準備もしておきましょう。
そして、仕事のやり方の変更などや、人事異動などの情報収集にも工夫が必要です。不在時の情報がわかるように自分から周囲に声をかけたり、社内LANやメールでの情報を出勤前に確認しておきましょう。
「これ以上働けない」という枠は、自分次第で変化させられる
「超時短勤務」は、育児や家事と両立する主婦にとっては嬉しい働き方です。一方で、短時間の間に成果を出し、不在時の情報も常に取集しておく工夫が必要なこともわかりました。そして、忘れてはいけないのは、「これ以上働けない」という枠は、自分次第で変化させることができるということです。
子どもは成長し常に親が送り迎えしなくてもよくなる時期が訪れます。また、例えば、家事に関しては、便利家電や外部サービスの利用で時間短縮することもできます。職場の繁忙期には、思い切って勤務時間を延ばすことや、周囲に子どもを預けて社内のイベントに出席することもたまには考えてみてはいかがでしょうか。その姿勢が、将来のキャリアアップにつながっていくことでしょう。
(島谷 美奈子/キャリアカウンセラー)