幼児期は、集団生活や活動を通して規律や秩序を養う時期
「金髪」「ピアス」「脱毛」「編み込み」「ツーブロック」。かつては大人のものとされていたファッションや文化が、幼稚園児や小学生の子どもたちに流れ込み、「オトナ化する子ども」「子どもをオトナ化させる親」が増えています。
親がカッコ良いと感じたもの、可愛いと思ったもの、いわゆる親の価値感に合わせて子どもは変えられていきます。このこと自体は家庭教育の性質でもあり、悪いことではありません。むしろ、ファッションや文化から派生する教育的価値もあります。
しかしながら、幼児期という特定の時期は別物と考えなければなりません。親の役割として、子を人間として育て、しつける義務があるからです。さらに、幼児期は、集団生活や活動を通して規律や秩序を養う時期でもあります。
しつけの時期に「ファッションは自由」という理論は通用しない
幼稚園児や小学校の児童が髪を染めたり、パーマをかけたりしていることを奇異に感じない人は少なくないでしょう。しつけの時期にもかかわらず、個人主義を尊重した「ファッションだから何でも自由で良いじゃないか」という理論は通用しません。
また、周りの親から見た際、「そういう目立った子の親は、やっぱり親も変わっている」「子ども同士が関わって何かトラブルになるとややこしいので、子どもには『そういう子とはあまり遊ばないように』と言っている」という正直な意見も当然でしょう。
さらに、オトナ化する子どもは、性的なオーラを早くからまとうことにもなります。ミニスカートから出た足を、一部の愛好者から性的な目で見られないと言い切ることはできないでしょう。少女を狙った性犯罪のリスクを増長させることにもつながりかねません。
学校単位で教育価値に基づいたルールをつくり、組織的な指導を
学生服の役割を考えてみると、外見を整えることによって内面を変化させ、「生徒である自覚」「学ぼうとする気分」「仲間意識や愛校心」などを増進させるために使用されてきました。
つまり、目的にふさわしい外見に整えることで、子どもの気持ち(内面)を変え、周りの友だち、保護者、先生、さらに地域の人々にも、そのことを気づかせ、本人の励みとなる好循環を起こすのが制服の役割です。
こう考えると、小学校では制服がないところも多いかもしれませんが、学校単位で子どもの服装や髪形など一定のルールを設け、違反している場合は親に指導する方法しかないと思われます。教師個人のレベルでは、価値観の物差しが違う親を指導することには無理があるでしょう。学校単位で教育価値に基づいたルールをつくり、組織的に指導していくことが大切ではないのでしょうか。
(田中 正徳/次世代教育プランナー)