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住宅ローン、長期固定金利に潜むリスク

JIJICO 2015年1月14日 15時0分

フラット35の金利、6か月連続で過去最低を更新

住宅金融支援機構は5日、長期固定型住宅ローン「フラット35」の35年ローンの金利が、最も低いもので年1.47%になったと発表。前月より0.09%低下し、6か月連続で過去最低を更新しました。

今、住宅ローンは固定金利が良いのでしょうか?

固定金利と変動金利のメリット、デメリット

住宅金融支援機構が販売している長期固定型住宅ローン「フラット35」は、通常、民間金融機関を通じて販売されています。そのため、扱う金融機関によって金利や手数料などに多少違いがあります。一方、変動金利型の住宅ローンは、民間金融機関が直に販売している商品です。商品数は3,000種類以上あるといわれていて、比較がとても複雑になっています。

固定金利と変動金利を比較してみると以下のような特徴があります。

【固定金利】
■メリット
・長期間にわたって金利が一定である
・保証料がない
・繰り上げ返済手数料が無料
■デメリット
・保証料の代わりに手数料がある
・団体信用生命保険が自己負担

【変動金利】
■メリット
・金利が比較的安い
・団体信用保険料が金利に込み
■デメリット
・金利が変動する
・繰り上げ返済で手数料が発生

変動金利と比較する際、0.4%ほど金利をプラスする必要がある

「フラット35」は保証料が無料という広告を頻繁に見かけますが、実際には保証料が手数料という名前に変わっているだけです。融資金額の2%(別途消費税)が手数料として発生しますが、この手数料は保証料から名前を変えたことで、住宅ローンを完済しても一切返金されません(保証料であれば、残期間分、返済されます)。ですから、実際には、「繰り上げ返済手数料が無料という」記載は、手数料が返還されないことを考えると大きなメリットにはなっていません。

また、「フラット35」は金利を安く見せるためなのか、団体信用生命保険料(債務者に万一のことがあった場合、残債が支払い不要になる生命保険)が自己負担になっています。民間の住宅ローンではローン金利に込みになっています。この費用を金利換算すると、0.4%程度になります。そこで、固定金利である「フラット35」と民間の変動金利を比較する場合は「フラット35」の金利に0.4%ほど金利をプラスする必要が出てきます。

残債が思いのほか減らないという問題が発生しやすい

最も気をつけないといけないのは、「住宅ローンは当初の金利が安い方がトータルの支払いが少なくなる」ということです。例えば、当初1%の金利差があると、10年間でどれくらい残債に差が出るでしょうか?残債が少なくなってから金利が上がっても、それほど大きな負担にはなりにくいのです。

私自身、これまで住宅ローン返済の相談を受けてきて、残債が思いのほか減っていないことによる相談がとても多くありました。長期固定金利では、毎月の返済が変動金利に比べて比較的高いだけでなく、残債が思いのほか減らない=途中で住宅ローンの返済ができなくなった時に売ろうと思っても残債が多くて売れない、という問題が発生しやすいのです。

住宅ローンを借りるときには、無理なローンを組まないことが何より大切なことです。その上で、金利が比較的安くて残債が減りやすい商品が望まれます。あなたが知っている民間の変動金利型住宅ローンと固定金利型住宅ローンの金利に0.4%をプラスした金利を比較した場合、差はいくらぐらいになりそうですか。残債の減り具合と、毎月の返済額の差をしっかりと計算して安心な返済を心がけてください。

(福間 直樹/ファイナンシャルコンサルタント)

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