ブラック企業の新卒求人をハローワークで受理しない制度創設へ
厚生労働省は、過酷な労働を強いるブラック企業対策を強化するため、残業代不払いなどの違法行為を繰り返す企業の新卒求人をハローワークで受理しない制度を創設する方針を固めました。
現在の法律では原則、ハローワークは求人の申し込みはすべて受理しなければならない、と規定されており、企業が自己申告する求人内容に違法性がない限り、受理することになっています。そのため、ブラック企業でも求人募集ができてしまうという問題が以前から指摘されていました。
正直者が馬鹿を見る。あってはならない不公平な状況も
例えば、以下のような話を実際に聞いたことがあります。
・正社員の募集だったのに、正社員にしてもらえない。
・給料の総額に実は残業代も含まれていた。
・賞与有り、とあったが、実際には無かった。
・社会保険に加入してくれない。
・職務内容が違っている。
厳しい雇用情勢でようやく採用された、また、せっかく手に入れた正社員の地位を失いたくないといった理由で、なかなか文句が言えない。こういった状況を利用して甘い条件で募集して騙す、これは非常に悪質です。
まともに募集している企業と比較して、ブラック企業の募集内容が良い条件であった場合、正直な企業が採用に困ってしまうという、あってはならない不公平な状況もつくり出しています。結果として、企業の慢性的な人手不足も解消ができていません。
厚生労働省が能動的に調査する制度になることを期待
国が運営するハローワークの信頼性を高めるため、また、なかなか採用に経費をかけられない中小零細企業が無料で希望の人材確保ができるため、そして、職を探している応募者が安心してハローワークを利用できるためにも、今回の厚生労働省の取り組みは、ブラック企業被害を減らすために非常に意義のあることです。
企業からの自己申告により行うようなものではなく、厚生労働省が能動的に調査し、応募者と善良な企業とがしっかりとマッチングできるような制度となることを願います。
(大東 恵子/社会保険労務士)