東京都が英語だけの生活が体験できる施設「英語村」の構想を発表
国際社会で活躍できる人材を育てるため、東京都は英語だけの生活が体験できる直営の教育施設「英語村」を設置する構想を発表しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての取り組みともされ、施設内係員は国際協力機構(JICA)の職員や国際交流事業(JET)で来日している人など、すべて外国人。同施設に都内の中高生らが一定期間滞在し、「生きた英語」を学べる施設にするとのことです。
ただの「英語」ではなく「生きた英語」の習得や、英語力の強化へ導きたいとする東京都のこの構想について、有識者による検討会も予定されています。自治体の取り組みとしてはとても画期的であり、期待を抱く人は多いと考えられ、その内容がいかに構成されるのか注目が集まります。
反復練習に留まれば、「生きた英語」習得は望めない
「生きた英語」とは「使える英語」です。それを身につける方法として、実際に英語を使う機会を与えること、疑似体験の中で英語を使えるように工夫を凝らすことは、当然必要です。しかし、それらが単なる反復練習に留まれば、一般的に求められている「生きた英語」、つまり「使える英語」の習得は望めません。何かしらの活動の中で、英語を使いたいと思う気持ちを育てることと、その達成感を共に喜ぶ環境が求められます。
幼・少年期において、外国語である英語を道具として、つまり教授言語として使い、他教科を教えるイマージョン教育(immersion program)と呼ばれる教育があります。これは、英語を教科、または英語習得を目標として指導されるわけではありませんが、その習得効果は高いとされています。
子どもたちをどう動かすかが「英語村」成功のカギに
イマージョン教育ほどの効果は期待できないとしても、「英語村」のような英語漬けの環境に少しでも長く身を置くこと、そして、その中で体験的に動くことは言語習得において最も好ましい環境の一つです。それは、日本の英語教育に最も欠けていることのように思います。
楽しみながらの体験的活動が、子どもたちに達成感や自信を与え、「生きた英語」の習得につながることを期待せずにはいられません。子どもたちが持つ言語感覚で「生きた英語」を自分の物とし、英語への興味、異文化への興味を更に引き出し、日本とは異なる文化の国々について知りたい、自分の英語力を試したいと思えるようになる子どもが増えれば、「英語村」の設置は成功したといえるかもしれません。
(ゴーン 恵美/英会話講師)