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いじめ解決に「同調圧力」は効果的?

JIJICO 2015年1月29日 15時0分

いじめ解決例として「同調圧力」を紹介

いじめ問題については、これまでも行政やメディアなどで何度も取り上げられていますが、何の解決策も見い出せていないのが現状です。ニュースでも事件の報告が増加の一途をたどるばかり。

そんな中、法務省が、いじめ問題解決に向けた取り組みの一環として制作・発行している啓発冊子が世間の反響を呼んでいます。その冊子に掲載されているマンガの中で、いじめ解決例として「同調圧力」が紹介されているのです。

いじめの解決方法として、はたして同調圧力は効果があるのでしょうか。

同調圧力は、いわば「いじめ解決ごっこ」。むしろ逆効果

一般的に同調圧力とは、少数意見を有する者に対し、多数意見に合わせることを強制することを指します。マンガの中では、以下のようなやりとりが描かれています。

主人公「先生もいってたじゃないか!みんな人権があるんだから、むりやりカバン持ちやおつかいをさせちゃいけない!」

主人公「クラスのみんなも同じ意見なんだよ」

いじめっこ「えっ?」

みんな「そのとおり!!」

いじめっこ「わっ」

主人公「どうする?いじめをやめてくれる?」

いじめっこ「わ、わかった」「もうしない」

みんな「ワーイ!」

そもそも、いじめに限らずどんな問題も、誰か一人が原因というわけではありません。互いの関係の中で、価値観の相違や理解不足といったものに起因します。よって、いじめる側、いじめられる側の関係において、どこに、どんな問題があるのかを見極める必要があるのです。

同調圧力での解決方法は、誰が良いか悪いか、どちらが正義か悪であるかを決めつけるだけです。いわば「いじめ解決ごっこ」。つまり、「いじめ」をテーマにして、ヒーロー役と悪役とを演じているにすぎません。

これでは何の解決にもならないどころか、いじめと変わらないため、同調圧力はかえって問題をこじらせてしまい、むしろ逆効果でしかないでしょう。

「誰が問題なのか」ではなく「何が問題なのか」を考える

では、どうすれば、いじめの問題は解決するのでしょうか?ただ「いじめをなくす」といっても「何がいじめなのか?」「いじめとは何なのか?」がわかっていなければ、いじめをなくすことはできません。

何がどうなれば「解決した」と言えるのかわからないのに、希望的観測で思いついたことをやってみても問題解決には至らないでしょう。逆に、ここがわかれば、後はそこに向けて努力をしていくだけです。

まず何より大切なのは、「誰が問題なのか」ではなく「何が問題なのか」を考えて取り組んでいくことではないでしょうか。いじめについて、これからも社会全体で考える必要があるでしょう。

(宮本 章太郎/心理カウンセラー)

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