ガソリン価格の値下がり、過去最長を更新
ガソリン価格が下がっています。石油情報センターが28日に発表した26日時点のレギュラーガソリンの小売価格は、全国平均が前週比3円40銭安の1リットル当たり136円20銭と、4年ぶりの安値となりました。値下がりは27週連続で、過去最長を更新しています。
ガソリン価格は、ガソリン本体の価格に、ガソリン税53.8円/リットル、石油石炭税2.54円/リットルを合計したものに消費税を足した合計価格で構成されています。リッター150円でガソリンが売られているとすれば、ガソリン本体自体は約82円ということになります。ガソリン本体価格は、日本に輸入される原油価格によって決定されます。原油価格は原油の需要と供給の関係によって決まり、原油の供給量が不足している状態が続くと原油高となります。具体的には、(1)世界各国の経済成長による石油消費量の増加、(2)中東での戦争による石油供給量の低下、(3)投機の影響、(4)為替相場の影響、を受けて原油価格が変動します。
世界経済減速による原油需要の鈍化、原油生産量の増加が原因
原油価格が昨年6月頃から下がっているのは、中国やインドなどが相次いで経済成長率を下方修正するなど、世界経済減速による原油需要の鈍化、そして、アメリカのシェールオイル増産など世界的に原油生産量が増加していることが挙げられます。
OPECの盟主であり、世界一の原油産出国であるサウジアラビアは、生産を減らすことにより、原油価格を下げ止まりさせることも可能なのですが、今回は原油価格下落を支持しているようです。理由は、どうやら政治経済的な絡みがあるようです。アメリカのシェールオイル業界にとっては、原油安はかなりの痛手です。サウジアラビアにとっても、アメリカのシェールオイル業界が原油安に耐え切れなくなって倒産もしくは減産してくれれば好都合なのでしょう。
原油価格はしばらく低い状態を維持、もしくは下がっていく
では、今後ガソリン価格はどのように推移していくのでしょうか?
ガソリンの需要に関しては、燃費の良い自動車が生産されたり、電気自動車が生産されたりして、今後、需要の伸びが抑制されていくものと予想されています。また、世界全体の原油埋蔵量の予想は年々増え続けており、原油の供給自体は今後も増え続けていくことが予想されています。原油の供給が、需要を上回る状態が長引くとされているのです。また、投機筋も、この予想にしたがって行動しますので、原油価格はしばらく低い状態を維持、もしくは下がっていくと見られています。ただし、為替相場の影響を受けて円安になると、価格は上がるため注意しましょう。
(福間 直樹/ファイナンシャルコンサルタント)