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新規事業を後押し「グレーゾーン解消制度」とは

JIJICO 2015年2月2日 17時0分

産業競争力強化法で定められた「グレーゾーン解消制度」

電動アシスト機能を有するベビーカーの販売を予定する事業者が「グレーゾーン解消制度」を利用し、この商品が道路交通法2条3項により歩行者と同じ扱いをされる「小児用の車」といえるのか否かの照会がなされ、このたび、規制官庁から回答がなされた旨の発表がありました。

では、この「グレーゾーン解消制度」とは、どのような制度でしょうか。

平成26年1月20日に施行された「産業競争力強化法」は、アベノミクスの第3の矢として策定された「日本再興戦略」に盛り込まれた施策を実行し、産業競争力を強化することを目的として制定されたもので、新規事業へチャレンジする事業者を応援すべく「グレーゾーン解消制度」と「企業実証特例制度」の2つの制度を定めています。

新規事業が既存の法令に基づく規制の対象となるのかどうかを確認

新規事業を行おうとする際に、その事業が既存の法令に基づく規制の対象となるのかどうかはっきりしない場合、ややもすれば規制の対象となることを恐れて当該事業を断念しかねません。「グレーゾーン解消制度」は、新規事業を後押しするために、事業者自身が直接に規制所管大臣に照会するのではなく、新規事業を支援する側の事業所管大臣が事業者に代わって規制所管大臣に対し個別の事業計画に即して、あらかじめ規制の対象となるかどうかを照会することにより、その確認ができるようにした制度です。

ただし、照会によって確認できるのは、照会のあった特定の法令に基づく規制の対象となるかどうかに限定され、それ以外の法令に基づく規制については、別途、照会手続を経なければなりません。逆にいえば、この制度は、新規事業があらゆる法令の規制に引っ掛からないこと、すなわち「合法」であることを照会する制度にはなっていません。

「企業実証特例制度」を利用して「規制の特例措置」も提案できる

他方、「企業実証特例制度」は、新規事業が法令の規制の対象となる場合、どのような措置を講ずれば当該規制が求めている安全性などを確保できるのかを事業者が事業所管省庁と相談・検討した上、事業所管大臣に対し当該措置を「規制の特例措置」として創設することを求め、事業所管大臣が規制所管大臣に対し「規制の特例措置」を整備するよう要請し、その特例措置を利用して新規事業を可能にする制度です。

「グレーゾーン解消制度」を利用した結果、規制の対象となる旨の回答がなされたとしても、今度は「企業実証特例制度」を利用して「規制の特例措置」を提案することが可能になるため、既存の法令による規制があるからといって、新規事業の実施を簡単にあきらめる必要はないということになります。

これらの制度が、長引く景気の低迷から脱出するきっかけとなることを期待したいところです。

(田沢 剛/弁護士)

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