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長時間労働で初の事業停止処分、コンプラ徹底が急務

JIJICO 2015年2月3日 17時0分

北海道運輸局、運送会社に対し、30日間の事業停止を命じる

北海道運輸局は、トラックの運転手に基準を超える長時間労働をさせていたとして、北海道の運送会社に対し、30日間の事業停止を命じました。この事業所は、車両を41台も所有しており、経営に大きな影響があると思われます。

今回は、運輸局からの処分です。運送業を行う企業は、労働基準監督署の指導や是正勧告の対応だけでなく、業界独自の運輸局の監査というものもクリアしなければ、事業を運営できなくなるということを強く意識しなければなりません。

また近年、運輸局と労働基準監督署は連携を強化して指導にあたっており、会社側も本気で労働環境の改善に取り組まなければ取り返しのつかないことになる場合もあります。まずは、直ちに経営トップが現状を把握することに力を入れてほしいところです。

法律に従った労働時間管理が必要

運転手の勤務時間に関する違反行為で、営業所単位の事業停止処分を行うのは、全国で初めてのことです。今後、全国の各運輸局も同じような処分を行う可能性がありますので、「このくらいの違反なら大丈夫」という安易な考えは捨てて、法律に従った労働時間管理を厳しく行わなければなりません。

また、コンプライアンス意識が今まで以上に問われることとなり、その対応に費やす時間も大幅に増やさなければ事業の存続も危うくなります。何といっても経営者側の意識の改革が必要で、現場と一体になって問題を解決しようとしなければ、簡単に変わることはできません。

ますます労働基準監督署の調査・指導の厳格化が予想される

運輸局によると、この会社の監査を実施した結果として、連続運転時間が4時間を超えたり、1日の拘束時間が16時間以上に及んだりするなど、運転手の勤務に関わる国の基準を超える長時間労働が繰り返し行われていたとのことです。

基本的には、労働基準法をはじめとする基本ルールを正確に理解することが大切です。また、違反していることを把握しているのにもかかわらず、ついそのまま続けているケースも多いかもしれません。しかし、国が業界独自に基準を定めていることには特別に意味があるわけであって、このような基準を守れない事業所は、従業員の健康面のリスクがあるだけでなく、社会で取り上げられるような大きな事故を起こしてしまう可能性もあるのです。

ドライバーの長時間労働は慢性化し、脳・心臓疾患による労災認定の数も減る気配がない状況で、今回の運輸局の事業停止命令は、大きなインパクトがありました。運送業界だけでなく、労働時間削減については政府が推進している重要なテーマのため、今後、ますます労働基準監督署の調査・指導が厳しくなってくることが予測されます。

これを機会に、まずは早い段階で社内の労務関連のコンプライアンスチェックを厳格に行うべきといえるでしょう。

(庄司 英尚/社会保険労務士)

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