小学校の授業で残虐な遺体画像を児童に見せていたことが発覚
名古屋市は5日、市立小学校の20代の女性教諭が、5年生の授業中、中東の過激派「ISIL」に殺害されたとみられる日本人の遺体の画像を児童に見せていたと発表しました。女性教諭は、社会科の授業でインターネット上の画像を一部加工して教材として使用し、日本人人質と見られる遺体や、ひざまずいている画像の2枚を教室のテレビを使って見せたといいます。
教諭は、画像にモザイクをかけて報道すべきかどうかなど、情報発信のあり方を授業のテーマにしたと説明し、児童に「見なくても良い」と言ったといいます。全員が見たわけではなく、授業に出席した児童35人のうち3~5人が下を向いていた模様です。体調を崩した児童は、現時点で把握していないようです。
市教委は教諭について「厳正に対処する」としました。小学校に臨床心理士を派遣するなどして授業を受けた児童の心のケアに努めるようです。今回の件から、子どもの心にどんな影響が考えられるでしょうか。
可能性として、トラウマによるPTSDが懸念される
まず「トラウマ」が懸念されるでしょう。誰でも日常生活において恐怖を感じることはあります。事故や災害に遭ったり、予測できない恐怖体験をすることで、時として「トラウマ」となります。しかし、「あのことが、トラウマになって…」などと日常会話で「苦い思い出」として話されることと、本当のトラウマは違います。
・原因となる事象を何度も思い出す
・ショックで社会生活が困難になる
・自信を失って外出ができなくなる
身体面では、不眠、食欲不振、動悸、震えなどが起きます。心理面では、否定的な人生観が芽生え、無力感、罪悪感、情緒不安定に陥ったりします。また、子どものトラウマによるPTSDも増えているようです。その原因の多くは、虐待・ネグレクト・いじめ・性犯罪などです。
家庭で「愛」が注がれていれば、子どもはたくましく生きていける
今回のようなことは各地で起きていますが、私自身は「本当に事件なのだろうか」というのが本音でもあります。子どもは若竹のように、しなやかな心を持っています。外の世界で恐怖を感じる事件などに遭遇したとしても、日常的に家庭で大きな「愛」を注がれていれば乗り越えることができるのだと思います。
また、今回のテロ組織による人質事件にしても、海外旅行者のレイプや殺害事件にしても、それを知ったら「トラウマ」になるなら、国によっては多くの子どもが「トラウマ」の中で生きることになってしまいます。
日本は「平和」です。それは素晴らしいことですが、海の向こうでは何が起きているのかという「現実」を子どもに教育することは、言葉次第では「善行」という見方もできるのではないでしょうか。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)