栄養ドリンクの表示規制緩和が検討される
産経新聞の報道によれば、「滋養強壮」や「肉体疲労時の栄養補給」を謳う栄養ドリンクに含まれる成分の効果を消費者にわかりやすく伝えようと、政府が表示に関する規制緩和の検討を始めるとのことです。メーカーによる多様な商品開発を可能にすることで、消費者の健康管理に役立てる狙いがあります。
現在、医薬部外品に分類される栄養ドリンクは、厚生労働省が各都道府県に通知した「新指定医薬部外品の製造(輸入)承認基準」に示された成分で配合されていました。しかし、同基準において多種類の成分指定がある一方、効果の表示は「滋養強壮、肉体疲労の栄養補給」といった表現に限定されていました。そのため、各メーカーも商品を差別化できず、消費者も自分に適した商品がわかりづらいままでした。そこで検討されているのが、今回の表示規制緩和です。
バブル時代、ビジネスマン向けに普及した栄養ドリンク
バブルの時代には、栄養ドリンクは「24時間たたかう」ための飲み物としてイメージが定着し、ビタミンB、カフェインを含む商品に人気が集まりました。風邪でも仕事を休めないビジネスマン、徹夜仕事、そしてアフター5の友として出回ったのが、栄養ドリンク剤です。
カフェインには覚醒作用があり、一時的には体調が復活したような気分になれますが、本来の食事、睡眠時間といった健康の基本を無視した生活は体を痛めつけます。栄養ドリンクのみに依存したビジネスマンが、体を壊すことが多かったのもバブルの時代の逸話です。
カフェイン入りの栄養ドリンクの飲み過ぎは、頭痛、イライラ、頻尿、便秘、不眠になりやすいものです。風邪、インフルエンザの時は、ノンカフェインで免疫力アップの栄養ドリンクを服用し、早く寝るのが効果的です。
規制緩和を受けドリンク剤の服用目的、品質、価格の差が顕著に
今回の規制緩和を受け、今後の栄養ドリンクは「美肌、骨を丈夫にする、不眠対策、眼の疲れ」など、用途によって消費者が適した商品を選べるような表示に移行・多様化していくでしょう。また、ストレス対策の抗酸化や糖鎖のドリンクなども、主流になってくると考えられます。
栄養ドリンク剤の服用目的、品質、価格の差も顕著に表れ、メーカーも自社製品のアピールに今以上に力を入れてきます。また、今までは疲労回復の時に飲むドリンク剤が人気でしたが、これからの時代はアンチエイジングなど、体本来の機能を大切にする商品に注目が集まることが予想されます。
(小林 潤子/薬剤師)