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「自転車事故」の恐るべき高額賠償。保険加入は「必須」

JIJICO 2015年2月21日 11時0分

加害者に対して約1億円の支払いが命じられたことも

9,521万円。9,266万円。この数字は、自転車での加害事故で、判決により加害者に対して支払いを命じられた金額です。自転車事故の現状を知り、安全運転と万一への備えを考えてみませんか?

自動車事故のうち対人賠償事故については、原則として「自賠責保険」に加入が義務づけられています。自賠責保険の保険金限度額は、1被害者あたり死亡3,000万円、傷害120万円。ただし、自動車事故の対人賠償においては不十分であり、対物事故は対象外のため、多くの人は任意保険に加入しています。その加入率は対人賠償保険、対物賠償保険で73.1%となっています(日本損害保険協会調べ2012年3月末)。つまり、自転車運転中に自動車にぶつけられた場合、約4分の1の確率で、加害者は任意保険に加入していない、ということです。

一方、自転車については運転免許制度もなく、強制保険もありません。しかし、手軽な乗り物である自転車も、いったん事故を起こすと、被害者だけでなく、加害者やその家族の生活も大きく変わってしまいます。冒頭の9,521万円の賠償事故の加害者は11歳の小学生、9,266万円の賠償事故の加害者は男子高校生でした。未成年者といえども、加害者となった場合の損害賠償責任を免れることはできません。

損害賠償に備えるために有効な「個人賠償責任保険」

被害者に対する損害賠償に備えるために有効な保険は「個人賠償責任保険」です。個人の日常生活において、他人の身体、財物に損害を与えた場合の損害賠償責任に備えるための保険で、火災保険、自動車保険、傷害保険などの特約で付保することが多く、保険金額上限1億円、保険期間1年程度の契約で、約1,000円~2,000円の保険料で備えることができます。

なお、自転車事故の加害者となった場合、自賠責保険や自動車保険では補償されません。

「傷害保険」の活用で自転車事故による入院・通院費などに備える

また、警察庁のデータによると、自転車乗用中による死傷者数は12万529人。つまり、1日平均330人が自転車事故で死傷している計算となります。その死傷者のうち、15歳以下が17.8%、16歳~24歳が22%、65歳以上が18.2%。若い人と高齢者が自転車乗用中に死傷している割合が中年層に比べて高いことがわかります。

自転車事故などによる入院・通院費、手術費、後遺障害・死亡に備えるためには、傷害保険の活用が考えられます。ケガを補償する「普通傷害保険」のほか、家族全体の傷害を補償する「家族傷害保険」、交通事故に絞って保険料を安くした「交通事故傷害保険」「ファミリー交通傷害保険」などがあります。

なお、「加害者」「被害者」の両方の立場に備える商品・制度には、「自転車保険」や日本交通管理技術協会が認めた自転車店で、料金を支払って点検を受けると発行される「TSマーク」などがあります。

保険は事故発生時のお金の問題に過ぎない。安全運転・法令順守を

保険の加入は万一の備えとして、とても大切ですが、その前に、加害者、被害者とならないような自転車運転を心がけましょう。スマホ・携帯、ヘッドホンなどの「ながら運転」は5万円以下の罰金に該当するルール違反です。移動時間を有効活用したいという考えは理解できなくはありませんが、大事故と隣り合わせの危険な行為であることも事実です。

ちょっとした不注意や油断、ルール違反で、自分や家族、他人の人生を台無しにすることがないよう運転に気をつけ、万一の備えにも取り組みましょう。

(益山 真一/ファイナンシャルプランナー)

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