早起きして午前中の時間を有効に活動するのは最も効率が良い
ヒトは、もともと昼行性動物です。朝に重きを置く生活パターンを作ることは、動物として極自然なことです。体内リズムを見ても午前10:00~12:00が最も覚醒している時間帯であるため、早起きして午前中の時間を有効に活動するのは最も効率が良いと言えます。
「朝型人間」になるためには、毎日の起床時間を固定することです。起床したら、屋外の光を目から十分に浴びると体内時計がリセットされ、セラトニンというホルモンが分泌されます。このホルモンによって覚醒し、その16~17時間後にメラトニンというホルモンが分泌され眠気を起こさせ、一定の生活リズムを作ります。
通勤や通学でも屋外の光を浴びるので、学生やビジネスマンは通常生活では覚醒に問題はないでしょう。しかし、早起きして朝型人間に移行する場合は、いち早く光を浴びて覚醒させることも重要です。また、休日も、平日との起床時間の差は2時間以内とし、休日だからといって極端な朝寝坊はしないことです。なぜなら、動物はカレンダーを見て生活しているわけではないからです。
食事の時間をある程度決め、夜の室内はBarくらいの薄暗さで
そして、食生活も大切。特に体内時計を狂わせないために食事の時間はある程度決めましょう。また、仕事をしていれば、必然的に適度な運動と会話を行えますが、シルバー世代など、どちらも極端に少なくなる場合があります。日中に適度な疲労感を得るためには意識的に体を動かし、誰かと会話するようにしましょう。
夜の室内は、脳の覚醒を防ぐために暗めな照明で過ごすこと。日本の室内照明は、他国と比較しても明る過ぎる傾向にあります。本当はロウソクの明かりが理想とされますが、Barくらいの薄暗さを目安にすると良いでしょう。これは入眠しやすくするためです。
そして、入眠してから熟睡できるために、気持ちの良い寝床環境を整えましょう。無意識になった体を支え包んでくれる、自分が快適と感じる寝具を取り入れてください。しっかりと質の高い睡眠を取ることで、朝気持ち良く覚醒できることにつながります。
「朝型人間」は、日中活動の環境である場合にのみ有効
ただし、どんな人でも「朝型人間」になることが良いというわけではありません。例えば、夜の仕事に従事していれば、当然、「夜型人間」になります。動物は置かれた環境に順応します。例えば、北極圏のトナカイには体内時計がないようです。北極圏では真冬に太陽が昇らず、真夏に太陽が沈みません。そんな環境では、 体内時計はかえって邪魔だったのでしょう。おそらく、ヒトも同じように、置かれている生活環境に適応するように、無理ない体内時計のズレが生じると考えられます。
「朝型人間」は、まず日中活動の環境である場合にのみ有効であって、誰もがそれを目指すものではないということも忘れてはいけません。
(荒井 信彦/快眠探求家)