「ガラスの天井指標」で日本が先進国ワースト2位に
イギリスの経済紙エコノミストが発表した「ガラスの天井指標」によれば、1位がフィンランド、2位はノルウェー、3位はスウェーデンと北欧の国が上位を占めました。いずれも高等教育を受けた割合や労働参加率が高いことが特徴ですが、日本は韓国に次いでワースト2の27位となりました。
「ガラスの天井」とは、性別や人種などを理由に組織内で昇進できず低い地位のままである、「キャリアアップへの見えない天井」のことを指します。「glass ceiling」という単語の訳からそう呼ばれ、女性の社会進出が本格的に始まった1980年代から使われるようになった言葉です。
ガラスの天井指標は、OECD加盟国の中で算出可能な28か国を対象とし、「高等教育を受けた男女の数字」「女性労働参加率」「男女の賃金差」「女性の高位職進出比率」などの指標を元に算出されています。
能力や経験のある女性が昇進できる仕組みづくりが急務
日本と世界との違いが目立つのは、「女性労働参加率」「女性の高位職進出比率」です。日本では出産・育児時期に仕事を辞める女性が多いため、労働率が30代で低くなり、M字カーブを描くことがよく知られています。2013年の25歳~54歳の女性の就業率は69.2%ですが、先ほど挙げた北欧の国は80%以上をキープしています。
また、管理職の割合が低いことも特徴で、アメリカが43%、フランス39%に対して、日本では11%にとどまっています。出産・育児を経ても働き続けられる環境の整備と、能力や経験のある女性が昇進できる仕組みづくりが急務であることが分かります。
小さな一歩の積み重ねが、「ガラスの天井」を打ち砕く大きな一歩
「詐欺師症候群」という言葉をご存知でしょうか。自己評価が低く、仕事で高い評価を受けても「周りの人のおかげ」「実力ではない」「いつか自分には力がないことがバレてしまうのでは」と不安を思ってしまうことで、欧米の女優や大企業の役員女性が発言して話題になった言葉です。
女性のキャリアアップが進まない裏には、環境の整備が整ってないことだけでなく、女性側にもこのような無意識な考え方があることも予想できます。小さいころから「女の子なのだから」と控えめに振る舞うことを良しとされた環境で育ったことや、仕事で目立つ業績を出すと「女性なのに」と周囲が特別扱いする環境だったこと、それらが複雑に絡み合い、素直に自分の評価を受け入れることができず、低い地位のままでいる女性をつくり続けている可能性もあるのです。
新しい時代を切り拓くためには、過去から進化していいのだと自分に言い聞かせ、自分の行動を変えていくことです。先輩たちを乗り越えて新しい時代を作り出していくのです。自分で自分を認めること、他人からの評価を肯定的に受け止めること。失敗してもいいと思うこと。小さな一歩の積み重ねが、「ガラスの天井」を打ち砕く大きな一歩になるでしょう。
(島谷 美奈子/キャリアカウンセラー)