現在は「バブル」真っ盛り
生活実感は伴わないかもしれませんが、現在、史上まれに見る「金余り状態」といえます。個人が保有する金融資産は、昨年12月末時点で1694兆円余りとなり、過去最高を更新したとのニュースもありました。
さきごろ発表された公示地価からは、都市圏の地価上昇が地方都市にも及びつつあることがわかります。また、東京駅隣接のオフィスビルや大阪の「くいだおれビル」など、馴染みのあるビルまで高額取引が実現して話題になりました。あえて言えば、現在は「バブル」真っ盛りです。もし、マンションを所有しているのであれば、現在が最も「売りどき」だと言えます。具体的に、5つの理由を考えてみましょう。
売ろうにも、売れない日がやって来る
■人口の減少と空き家の増加
バブルはいつか終わります。一方、空き家の恐怖は音もなく静かにやってきます。「気が付けば周りは空き家だらけ、売ろうにも売れない」、そんな日がやってきます。高度成長期に完成した郊外のニュータウンが良い例です。
同世代の人が多い場所ほど、一気にゴーストタウン化が進みます。タワーマンションだろうと、売りたいときには戸数の多いマンションほど売買事例も蓄積されているため、買い叩かれることになります。
■修繕積立金が「超」加速度的に増加
マンションの契約書に、修繕積立金のモデルケースが載っていませんか。その積立金は、何年かごとに増加しているはずです。3千円が3万円、3万円が8万円……。それは、「管理組合さん、しっかり頑張ってくださいね」という販売業者からのメッセージです。そして、それは予測でしかありません。マンション内に空き家が増えて未払いが増えれば、未払い分の修繕費は残った居住者に重くのしかかります。
■マンションはリフォームが困難
木造住宅であれば、トンカチとノコギリで壁を抜く、天井を剥がす、床を落とすなど、その気になれば自分でリフォームして今の暮らしに合った改築も可能です。ところが、コンクリート製のマンションはそれも困難です。バブル景気真っ只中だった30年前のマンションを見れば、今のマンションと隔世の感があるのが分かるはずです。現在、住んでいるマンションも、30年後にはそうなります。
「負」動産になる前に準備を進めておくのが賢明
■新築価格が高騰
土地価格の上昇、東北地方の復興、資材の高騰、職人不足、人件費の高騰などで、新築マンションの価格はここ数年上昇が続いています。新築が高くて手が出にくいとなれば、中古マンションに人気が移ります。実際、中古マンションの人気も価格も上昇基調で、この潮時を逃す手はありません。
■異文化への恐怖
価格が下がり、空き家が増えた団地には、相対的に異文化の人が住む割合が増える傾向にあります。それ自体は否定しませんが、不動産の専門家として言えるのは、日本の文化に特化した建物を異文化の使い方で住めば、どうしても建物の劣化は激しくなります。管理組合の意思疎通が困難になり、食文化の違いによる臭気も市場性を低下させる隠れた要因になっています。
以上の理由により、不動産が「負」動産になる前に、今後数年間の不動産市場の動向に注意し、売れるときにはすぐ売却できるよう、準備を進めておくのが賢明です。
(中山 聡/不動産鑑定士)