体格指数(BMI)が18.5未満の「やせ」に分類される女性が増加
厚生労働省の「2013年国民健康・栄養調査」によると、体格指数(BMI)が18.5未満の「やせ」に分類される割合は、20代女性が21.5%と最も多く、次いで30代女性も17.6%に上り、女性全体の「やせ」割合は12.3%で、1980年以降最も高くなりました。
平均エネルギー摂取量でみると、20代女性は1628kcal(2013年)。1946年2月の平均値は1696kcalというデータもあり、2013年の20代女性の方が少ないという結果になっています。若い女性の「やせ」が増えている背景には、各種メディアに露出しているタレントが細身であるため「やせているほうがいい」という価値観が普及しているほか、さまざまなダイエット法が出まわるなど、種々の因子が影響を及ぼしていると考えられています。
若い女性や妊婦の低栄養は「次世代の子ども」の健康にも影響
誤ったダイエットなどによる偏った食生活は、多くの健康問題のリスクを高めていて、若い女性や妊婦の低栄養問題は「次世代の子ども」の生活習慣病(高血圧・糖尿病など)のリスクをも高めると危惧されています。
過度なダイエットにより、女性ホルモンのバランスが乱れて生理不順になったり、完全に止まってしまったりすることは珍しくありません。無月経の原因の半数近くがダイエットであり、重症化して無月経期間が3~4年と長期間になると治療しても改善しにくいと言われています。
子どもが欲しいと願っても、妊娠しにくい体になってしまい、不妊治療などをすることになります。不妊治療は、夫婦お互いの精神面、肉体面、そして経済面にも重くのしかかります。将来を考えるのなら、目の前のプロポーションより健康の方を大切にし、絶対に無理なダイエットはするべきではありません。
妊娠中のみならず、妊娠する前から適切な食生活の確保を
また女性ホルモンは、赤ちゃんを産むだけでなく、女性らしい体つきや髪の毛、肌などに大きな影響を及ぼします。その女性ホルモンの分泌が少なくなると、更年期障害のような症状が出てきて、肌はボロボロ、髪にもツヤがなくなって体全体が老けてしまいます。
せっかくやせたのに、不妊症予備軍や女性として魅力的でない体になったのでは元も子もありません。若い女性にとって「産みたいときに産める健康でキレイな体」こそが、成功したダイエットといえるのではないでしょうか。若い女性は、妊娠中のみならず、妊娠する前から適切な食生活を確保することが、将来の日本の子どもたちの健康にとって大切であることを理解し、適正体重の維持とバランスのとれた食生活の確立を目指してほしいと思います。
(佐藤 浩明/消化器内科専門医)