スマホやパソコン中毒から解毒を試みる「ITデトックス」
スマートフォンが出始めた頃、「これは便利だ!」と感激していましたが、今では便利を通り越して「なくてはならない体の一部」のようになっています。このような変化に伴い、スマートフォンやパソコンを見る時間も多くなっています。一日中ネットにつながっていて依存症のようになり、目の疲れや視力低下、やる気が出ない、睡眠障害などの症状が出ている人たちもいます。
そうした人たちが、スマートフォンやパソコンから離れる時間を持つことを「ITデトックス」と呼びます。IT中毒からのデトックス(解毒)を試みるということです。方法はさまざまですが、要はスマートフォンやパソコンから離れ、画面を見ない時間を増やしていくことです。「この時間帯は見ない」「寝るときは離しておく」「恋人や友人、家族といるときは急ぎのもの以外は対応しない」など、自分なりのルールを作ることが有効でしょう。
ITにコントロールされず実体験をすることで深い学びを得る
ITデトックスをすることで、体はもちろんのこと心にも好影響があります。その一番大きなものは、自分の生活を自分がコントロールできるようになることでしょう。ITデトックスをすることで、自分のやりたいことがハッキリしてきます。スマートフォンやパソコン画面から一日中目を離さない生活は、自分が生活をコントロールしているのではなく、ITに振り回されている状態で、自分が中心ではなくITが中心になっているのです。
このように意思をあまり持たなくていい状態は、体も頭も楽をしています。これは生きる気力が希薄な状態で、生産性は低くなっています。ネットで人とつながったり記事を読んだりしていると、人と会っているような、社会とつながっているような気がします。しかし、実際に人と会ったり、社会生活を体験したりしているわけではありません。
ITデトックスをすることで、対人関係や世の中のさまざまな事柄を体験する機会が増えます。人間は、実体験をすることで深い学びがあります。もちろん、仮想でも学びはたくさんできますがそれは頭の中での学びです。自分が体験することで心に落とす学びができ、社会での行動の仕方が身についていくのです。
独自の視点で意見や考えをしっかり持つことで生きる充実感を
現代は情報社会で、情報を得ることで世の中から遅れをとらずにいられると錯覚しがちです。それが、ますますネット依存になりやすい状況を作っています。
しかし、こうした時代だからこそ自分の意見や考えがしっかりしていて、独自の視点を持てることが重要になってきます。そのためには、ITデトックスをすることでネットに頼る生活から脱し、自分を探求し見つめる時間を持つことです。情報社会に振り回されず、心の豊かさを取り戻し、自分を軸にして情報をうまく使う生活ができるようになると、生きている充実感が増していくことでしょう。
(安藤 はま子/心理カウンセラー)