「極度の緊張やあがり症」は、マイナスに作用する
新年度のこの時期、さまざまな企業で「新人研修」を担当していますが、会場には異様なほど張りつめた空気が流れています。そんな中、大概最初に行われるのが「自己紹介」です。「新人の自己紹介」を聞く機会も増えるわけですが、ただならぬ緊張感に包まれ、中には、顔を真っ赤に震えながら話す人もいます。
そんな人を目にした率直な感想は、「もったいないなぁ」です。休憩室などで話せばとてもステキな雰囲気を持っているにも関わらず、人前に出るとあがってしまい、固い印象を与えてしまう。本来の人柄が全く伝わっていないのです。
同時に、新入社員の失敗の多くは、緊張によるものともいわれています。仕事やスポーツなど、ある程度の緊張はプラスに作用しますが、「極度の緊張やあがり症」は、恐れや自信喪失に繋がり、マイナスに作用します。
「あがり症」を自覚する人に意識してほしい3つのポイント
そこで、自分は「あがり症だ」と思う人に、頭に入れておいてほしい3つのポイントを紹介します。
1.日本人の9割があがり症という事実を認識しよう
世界的にも日本人はあがり症の人が多く、自分が少しでもあがり症だと感じている人は9割以上ともいわれています。多くの人が程度の差はあれど、自分と同じようにあがり症なのです。
ということは、もし、あなたが人前で緊張したり赤面してしまったとしても、多くの人がその気持ちを理解してくれます。簡単にいえば「あがること」は「当たり前」だと認識することが大切です。
2.緊張やあがり症を受入れる(告白する)
手のひらに人を書いて飲み込む。見ている人をカボチャと思う。よく緊張を緩和させる方法として有名なこれらの行いは、逆に緊張の暗示をかけているようなものです。緊張する人の多くは、「緊張しないように」と意識を向けます。
しかし、意識すればするほど余計に緊張し、体が硬直する悪循環を招きます。大切なのは、緊張した自分をそのまま「緊張しているなぁ」と受け入れることです。できれば隣の人、スピーチであれば最初に「緊張しています」と告白するなど、良い意味で諦めが肝心。案外、いつもより緊張していない自分に出合えることもあるはずです。
3.失敗を覚えているのは自分だけ。多くの他人は忘れている
緊張によって失敗しても、それを目撃した多くの他人は案外、すぐに忘れてしまいます。仮に、その失敗をいつまでも馬鹿にする人がいれば、その人は性格的に問題があるだけです。付き合いを程々にするなど、距離を置くのが正解かもしれません。
自分自身がありのままの自分を受け入れる
最後に、人前で話をする際のアドバイスを送ります。大切なのは「声を笑顔にする」ことです。好印象を残すためには、やはり「笑顔」が重要です。しかし、多くの人は「顔で笑顔をつくろう」とします。結果、引きつった笑顔が完成し、笑顔が上手くつくれないことで緊張を招きます。
そんな時は「顔を笑顔に」ではなく「声を笑顔」にしてください。声を笑顔に話そうと意識すると、優しい口調になり、意識せずとも自然な笑顔になれます。言葉だけではなく「歩き方を笑顔にしよう」「仕草を笑顔にしよう」と意識すれば、体全体から優しいオーラが出てくるはずです。
会社にしろ、学校にしろ、団体にしろ、あなたが必要だと思われた結果、その場所のいるのです。自分の心だけには嘘はつけません。緊張だろうが、あがり症だろうが、自分自身がありのままの自分を受け入れることからスタートしましょう。
(つだ つよし。/心理カウンセラー)