対応を間違えればトラブルになる可能性も
新入社員が研修を終え、各職場に配属される時期がやってきました。配属先では、万全の態勢で迎え入れるためにさまざまな準備をして新入社員がやってくるのを楽しみにしています。しかし、その一方で、今年はとんでもない新人が配属されないか、ひやひやしている人もいるでしょう。
なぜなら今年は、従来通りの「ゆとり型」の新入社員だけではなく、「熱血型」という新しいタイプの新入社員が増えているからです。「熱血型」の新入社員は「ゆとり型」とは対極に位置し、警戒する必要があるのは熱血型の方です。
指導の仕方、叱り方なども従来通りの方法ではなく、しっかり分けて対応しなければなりません。対応を間違えればトラブルになる可能性もあり、会社全体で「熱血型」と「ゆとり型」の新入社員それぞれの特徴を理解し、対策を共有しておく必要があります。
熱血型は自分が納得しなければ動かない
「熱血型」新入社員は、こうと決めたら一直線で、権利意識と我が強く、理路整然と自分の考えを主張します。その困った言動の一部が、あるアンケート調査でも明らかになっていました。その一部を紹介すると、「入社早々『金曜日ノー残業』『有給フル取得』を宣言し、それでも『きっちり成果を出していく』と自信満々」の発言。また、ある新入社員は「やるべき作業を後回しにしていることを注意すると、『やろうと思えばすぐできるが、仕事全体の効率性を高めるため今はあえてスルーしている』などと説明するそうです。
このような熱血型は、自分が納得しなければ動きません。「今はあえてスルー」と確信を持ち、特定の業務を拒否している者を説得するには、きちんと丁寧に、なぜ、今やらないといけないのかということを理詰めで話さないといけないわけです。
だからこそ、叱る時には新入社員が叱られている理由を理解できるよう、順番にその背景などを含めて納得させる必要があります。要するに、かなり手間がかかるのですが、そこを手抜きしてはいけません。
「ゆとり型」新入社員もここ3年ほどで増加
一方、「ゆとり型」新入社員もここ3年くらいで増えてきましたが、熱血型とは大きく違います。取り扱いについては、これまでの経験があるので意外にも先に説明した熱血型に比べれば、楽であるという声も多いようです。
それでも、アンケート調査事例によれば「母親から働かせ方についてクレームがきた」「仕事より飲み会を優先する」など、とんでもない新入社員もいるようで、時には厳しく指導、または叱らなければならないこともあります。
叱り方一つで新入社員の成長が大きく変わる可能性が
それでも、ゆとり型は叱られることに慣れていないだけで、実際に叱られた理由が理解できれば素直に受け止めます。最初は叱られることに戸惑うかもしれませんが、目的があって叱っていることを理解してもらえれば問題ありません。逆に叱られないと不安に思ってしまう社員もいるため、相手を認めながら叱るという方法でやる気をアップさせていくのも一つの方法です。
ゆとり型新入社員は、やや社会的常識に欠け、競争意欲も高くありません。ちょっとずれている言動も悪気はないため、工夫すれば今後成長する可能性もあります。叱り方一つで新入社員の成長が大きく変わる可能性はあるので、新入社員をタイプ別に分析し、効果的な方法を事例として共有しながら今後に生かしていきましょう。
(庄司 英尚/社会保険労務士)