厚生労働省がマタハラに関して解釈通達を通知
マタハラとは「マタニティーハラスメント」の略で、妊娠・出産、育児休業などをきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、解雇や雇い止め、自主退職の強要など不利益を被ることを指します。昨年10月23日の最高裁判決で、合理的な理由なく妊娠・出産、育児休業等による降格は違法とされたことで、今年1月に厚生労働省は妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達を出しました。
また、今年3月には、マタハラの被害者支援を行う、「マタハラnet」代表の小酒部さやかさんが、2015年の「世界の勇気ある女性」賞を米国務省より受賞しました。日本人としては初めての受賞で、表彰式にはオバマ大統領のミシェル夫人も出席したことなどが話題となり、マタハラは注目を集めています。
どんな行動がマタハラと判断されるか
では、具体的にどんな行動がマタハラと判断されるのでしょうか。それは、妊娠・出産、子育て中の労働者に対して、「解雇、雇い止め、契約更新回数の引き下げ、退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要、降格や減給」を行うことです。また、「賞与等における不利益な算定、不利益な配置変更、不利益な自宅待機命令、昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う、雑務をさせるなどの就業環境を害する行為をする」ことも含まれます。
中小企業では、妊娠前に比べ働ける時間や量を少なくせざるを得ない従業員が出れば、業務に支障が出てしまい、可能であれば退職して欲しいという本音があるかもしれません。しかし、今年に入り、厚生労働省はマタハラ対策を強化しています。
一般従業員にもマタハラを啓蒙していく必要がある
また、マタハラによって退職を余儀なくされた、などがインターネット上で広がりでもすれば、女性が働きにくい企業としてイメージの低下、採用難などに陥りかねません。経営者、管理職ばかりでなく、フォローをする一般従業員にもマタハラを啓蒙していく必要があるでしょう。
そして、妊娠・出産、育児休業を取る従業員の希望や状況を全員で把握し、一体となって協力することで、少子化対策に貢献する企業として評価されるようになりたいものです。
(影山 正伸/社会保険労務士)