国際的な視野を持ちバランスの取れた人材を育成することが目的
日本では聞き慣れない「国際バカロレアInternational Baccalaureate」。本部をジュネーブに置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムで、グローバル人材育成の観点から文部科学省が普及・拡大を推進しているとして注目を集めるようになりました。
国際バカロレアは1968年、総合的な教育プログラムとして多様な文化を理解し、国際的な視野を持ちバランスの取れた人材を育成することを目的に設置されました。
高等学校を卒業した者と同等以上の学力が認められる
生徒の年齢に応じて初等、中等、高等と言う形で教育プログラムを提供。ディプロマプログラムと呼ばれる16歳~19歳を対象とした高等養育で使用される教授言語は、英語、フランス語、スペイン語です。その内容は、豊かな知識、多様性を受け入れる姿勢に社会奉仕の姿勢とバランスの取れた教育プログラムになっています。
現在では、世界に広がる認定校に対する国際バカロレアの理念、使命に基づいた共通カリキュラムの作成や世界共通の国際バカロレア試験や国際バカロレア資格の授与などを実施しています。日本においては、1979(昭和54)年から国際バカロレア資格を有し18歳に達した者を、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められるものとして指定しています。(一部文部科学省HP参照)
出願資格の募集要項に明記する大学も増加
さて、この国際バカロレア資格、最近では「日本再興戦略JAPAN is BACK 」の閣議決定に基づき、国内における国際バカロレア認定校を現在の27校から、2018年までに200校に増加させることを目標としています。現在、文部科学省と国際バカロレア機構とが協力して高等教育の一部科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開発が進められ、そのスケジュールの見通しも立っている様子です。
こうした動きを受け、大学では入学者選抜において国際バカロレアのスコアの積極的な活用を図るとし、国はそのために必要な支援を行うと宣言しています。当然、大学によって出願要件は異なりますが、特にAO入試、帰国子女特別選抜などの出願資格として募集要項に明記されてはいる学校が増加してきています。
日本の教育界に浸透していくかは、様子を見守る必要がある
しかし、国際バカロレアはその理念と現実の記述試験、口述試験内容を見ても、相当な力が求められています。一般的な英検やTOEIC、その他の英語資格試験と簡単に比較できるものではありませんが、国際バカロレア取得には社会奉仕が課せられるとの点からも、豊かな知識を持つだけにとどまらず、それをいかに世のために提供するかが重要と位置付けられ、非常に奥が深いものを感じます。
また、世界的に評価されている国際バカロレアですが、日本国内ではインターナショナルスクールでプログラムが提供されていること、また、その難易度の差、授業料、受験料の高さが今後の懸念点とされています。結果、特別な存在的感覚が拭い去れず、今後どれほど日本の教育界に浸透していくのかは、しばらく様子を見守る必要があるでしょう。一定の層にとどまらず、希望に満ちた多くの若者たちに分け隔てなく学べる機会が与えられるのであれば、国の更なる後押しに期待したいところです。
(ゴーン 恵美/英会話講師)