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土下座強要クレーマーへ反撃!店側が取るべき対応

JIJICO 2015年4月30日 14時0分

姫路市内でスーパー店員を土下座させたとして会社員の男を逮捕

先日、姫路市内のスーパーで店員を土下座させたとして会社員の男が逮捕されるなど、ここ最近、コンビニエンスストアなどで過剰なクレームを行う事件が相次いで報道されています。

過去にも、平成25年に衣料品チェーン「しまむら」で店員にクレームを付けて土下座を強要し、その様子を撮影した写真をツイッターに投稿した女性が強要罪で逮捕されるということもありました。

刑法第223条1項には「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する」と規定され、その未遂も処罰されることになっています。

この罪の要件となるのは、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて」「人に義務のないことを行わせる」ことです。土下座を強要することが「人に義務のないことを行わせる」ことに該当することは問題ないでしょうが、脅迫または暴行の要件が満たされるかは微妙な場合もあります。

土下座を求めるのは明らかに行き過ぎ、毅然とした態度で対応を

多少、口調が厳しくても正当なクレームを述べていたとしたら、それが違法な脅迫・暴行に当たるかという問題です。非常にまれな例でしょうが、土下座を求めることが社会的に相当とされるような場合であれば、土下座を求めたとしても強要罪と認められないこともあり得ます。

とはいっても、小売店の通常の顧客対応に対して土下座を強要することが正当な行為と認められることはほとんどないことですから、仮に土下座を求められたとしても、その要求に屈するようなことは避けるべきです。

クレームに発展するような店の側の落ち度もケースバイケースなので、どのような対応が適切かは一概に言えないところではありますが、土下座を求めるのは明らかに行き過ぎですから、店の側では「応じられない」と毅然と対応すべきです。

言動が記録されていることを告げ、沈静化させる

お客が引き下がらないときの対処法としては、クレームを述べている側に自身が不当な要求を行っていることに「気づかせる」ことが一番だと思います。多くの場合、クレーマーはその現場で「圧倒的に優位な立場にある」と思い上がっている状態でクレームを述べています。そのような思い込みが誤っているということに気づかせてやるのです。

その方法としては、「お客さまの言動は記録されています。そのうえで、おっしゃりたいことがあれば、後ほど検証させていただくのでおっしゃってください」といった対応をすることです。自分の言動が記録されているという事実は、激昂しているクレーマーが「我に返る」きっかけになります。後日、証拠としてその記録が提出されたときに不利になるような言動はできないと考えさせることができれば、ほぼクレームは沈静化します。

退去しない場合は、不退去罪という刑罰規定も

店の側に落ち度があったとしても、代金の返還や口頭での謝罪で法的な義務としては十分です。それでも「誠意を示せ」などといって引き下がらない場合には、具体的に何を求めているのかを明示させるようにしましょう。

悪質なクレーマーは、自分から金品の要求をすると恐喝罪に問われると考えているので、具体的な要求をせずにしつこくクレームを言い続けます。そのような場合に対する対処法としては、「当店としてはこれ以上お話することはないのでお引き取り下さい」ときちんと告げることです。

それでも店に居座るようであれば、はっきり「店から出ていくように要求」することです。「正当な理由がないのに」「要求を受けたにもかかわらず」退去しなかった場合には、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処するという不退去罪(刑法130条後段)という刑罰規定もありますので、その法律のことを教えてあげれば、引き下がる可能性は高いのではないでしょうか。

(舛田 雅彦/弁護士)

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