無意識の筋肉収縮が起こるという本能的な防御反応
誰でも経験のある「寝ピク」。電車でうたた寝をしているときや、昼寝のとき、授業中に居眠りしているときなど、急に階段を踏み外したり、穴に落ちるたりするような感覚で無意識に体が動いてしまった経験があると思います。
このように無意識に筋肉が一瞬、痙攣する現象を「ジャーキング」と呼びます。ミオクローヌス(不随意の筋肉の痙攣)の一種で、入眠状態に移行する時、また、脳が起きているレム睡眠状態の時によく起こります。起きている脳が、筋肉が弛緩して眠っている体を「高所から落下している」と勘違いし、無意識の筋肉収縮が起こるという本能的な防御反応なのです。
熟睡感が失われ、神経も休まらない
原因はいまだはっきりとは解明されていないようですが、不安定な体勢で寝ていることが一つの原因とされています。人は入眠すると筋肉の緊張がほぐれ、不安定な状態で寝ていれば体のバランスが崩れていると脳が錯覚してしまいます。結果、体のバランスを維持しようと脳が勝手に筋肉を緊張させ、痙攣を起こします。長時間起きている時や眠りの浅い時、眠気を我慢している時、過度の疲労感がある時に起こりやすいようです。
もちろん、これが頻繁に起これば睡眠が中断され、安堵感を持って眠ることができないため、熟睡感は失われます。いつも危険を感じながら眠っているということになり、神経も休まりません。
頻繁に起こる場合は専門医の受診が必要
ジャーキングの予防としては、肉体的疲労と精神的疲労を取り除くことが重要です。肉体的疲労には就寝前の温めの温度での入浴やストレッチ、マッサージなど、適度なクールダウン運動、そして朝の太陽の光を浴びて体内時計をしっかりリセットしておくこと。
精神的疲労には、音楽を聴いたり好きなアロマの香りに浸ったり、就寝までゆったりとリラックスできる環境を整えることが有効です。そして、何よりもしっかりと自分の寝姿勢を保持してくれる弾力性のベッドマットや敷アイテムなどの寝具に、体を預けることが重要です。
また、エネルギー源の不足が原因の一つにも上げられていますので、高タンパク、低脂質の食事によって解消することも有効だと考えられます。ジャーキングは、肝不全や腎不全、薬の服用、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、頭部外傷などの発症に伴い起こる症状でもあるので、頻繁に起こる場合は専門医の受診をお勧めします。
(荒井 信彦/快眠探求家)