コーヒーと緑茶が死亡リスクを低減する調査結果を発表
先日、国立がん研究センターが「コーヒーと緑茶摂取で死亡リスクが低減」と発表したことが大きな話題となっています。さぞかしコーヒー業界、緑茶業界は色めき立ったことでしょう。
私たちが、日常的に飲用している緑茶やコーヒーのどこにそのような力があるでしょう?まずコーヒーに関して同センターは、2つの成分について言及しています。その一つがコーヒーの代表的な含有成分であるカフェインです。カフェインというと「眠気覚まし」というイメージが強いと思いまが、センターの発表では「カフェインの持つ血管内皮の機能改善が今回の結果につながっているのでは?」といことです。
そして2つ目の成分が「クロロゲン酸」です。カフェインに比べると耳慣れない成分かもしれませんが、最近ではトクホ(特定保健用食品)のコーヒーでも使用されている成分です。その働きは血糖値を改善し、血圧を調整する効果があると言われており「カフェインと共に死亡リスクを下げている要因ではないか」ということです。
血圧や体脂肪、脂質を調整したり腸内環境を整えたりするカテキン
次に日本人に馴染みの深い「緑茶」。この緑茶の摂取で死亡リスクの低下が見られた要因としては、やはり「カテキンの効果によるものではないか?」と言われています。カテキンも、トクホで多く使用されている代表的な栄養素です。カテキンは血圧や体脂肪、脂質の調整作用があると言われているほか、殺菌作用があるので「腸内環境を整えるのに有効」という話もあります。このような働きで「死亡リスクを低減しているのではないか?」ということです。
しかし、注意して欲しいのは「過ぎたるは及ばざるが如し」ということです。さまざまなサプリメントや食品がブームになりやすい「フードファディズム大国」である日本。近年は熱狂的、狂信的に食べ物や栄養素に対して意識過剰になっている人が多く、今回の緑茶やコーヒーも、必要以上に摂取しないように気をつけた方がいいでしょう。
人は、加齢により内臓機能が低下していきます。そこに大量の水分やカフェインが入ってくれば、体調を崩すリスクが高まります。最近では、カフェインが大量に含まれているエナジードリンクの飲み過ぎも問題視されており、不眠や夜間頻尿などのトラブルがでないように、年配の人の場合は周囲が見てあげることが大切でしょう。
栄養素だけに注目するのではなく、お茶を飲み休息する習慣も大切
「どんなコーヒー、どんな緑茶を飲んでいるか?」ということも重要です。コーヒーは、確かに1日3~4杯で死亡リスクが下がるというデータがありますが、砂糖や乳脂肪がたっぷり入ったコーヒーかブラックか、それによっても違います。さらに細かく言えば、薄めのアメリカンをたくさん飲むか、濃いめのブレンドを小さなカップでとちょっといただくのか、それによっても異なります。
私のところに胃の不調で相談に来る人によくよく話を聞くと、「マグカップで冷えた濃い目のコーヒーをたくさん飲んでいて、それをやめたら調子が戻った」というような話もあります。どんな物をどう飲んでいるかも大切です。
緑茶やコーヒーを食後にゆっくりと飲んでリラックスする。その行為自体が副交感神経を優位にして、日中に高ぶる交感神経を緩和して「死亡リスクを下げている」というような面もあるのではないかと感じます。カフェインやカテキン、そのような栄養素だけに注目するのではなく「ゆっくりとお茶を飲む習慣・休憩を取る習慣」などにも注目してみたらよいのではないでしょう?
(早川 弘太/健康コンサルタント)