「文理融合型」の人材が求められている
神戸新聞の報道によれば、神戸大学が文理融合型の新大学院開設を目指し、文部科学省に認可申請することが分かったそうです。同様の傾向は他大学にもあり、現代社会でいわゆる文系・理系両方の要素を持ち合わせた「文理融合型」の人材が求められていることが影響しています。
また、グローバル化が進み、急激に変化する国内外の事象に対応するための人材育成が必要になったことから、文理融合型の学生は就職活動においても有利とされています。では、実際にところはどうなのか、具体的な学部学科から考えていきます。
文理融合の学びが、企業側の求めるものと一致する
就職に有利と考えられるのは、「社会情報学部」「総合科学部」「総合情報学部」「生活科学部」などです。学部の表示からも想像がつくように、理系の知識も文系の知識も学ぶ学際系の学部で、一つのテーマを複数の学問的な視点から学ぶだけでなく、一つの専門領域を深く学びつつ、それを支える複数の学問領域を学ぶという考えで運営されている学部といえます。
特色として挙げられる共通点には、「グループワークで問題発見・解決に取り組む」「積極的にディスカッションを取り入れる」「頻繁なプレゼンテーション」などがあります。文理融合の学びとその具体的学習方法が、企業側が求めるものと一致するという意味から、有利だと捉えていいでしょう。
選択職種の幅広さが結果、就職に有利に働く
従来であれば、理系は専門技術職、文系は管理営業職といったよく耳にする進路の図式は存在しました。ただ、自然情報学科の学生が金融業や流通業に、社会システム情報学科の学生が製造業やコンピューター産業に就職することも当たり前になってきたのは、文理明確な分け方だけではない、社会の要請があるのです。
今や「企画力のある技術職」が、その一方で「技術のわかる営業職」が生まれてきているのが、文理融合出身者の特色です。就職先は理系だけでなく、金融など文系の職種まで幅広いということが、結果的に就職に有利といわれるようになった所以ではないでしょうか。
文理融合型ではないからといって就職に不利とは限らない
しかし、「自分は文理融合型学部ではないから、就職に不利なのでは…」などの思い違いは禁物です。例えば、理系で技術職の場合、バイオ系・機械系・化学系など、それぞれ必要とされる技術は異なります。就職先を選べば、大学で学んだ知識や技術が仕事内容と密接に関係したものになり、就活の際もそれらをアピールすることができます。
一方、文系の場合、仕事に必要な知識や考え方は、仕事の中で初めて学ぶことがほとんどです。なので、専門分野の知識を直接生かす場面が少ない分、多くの業種職種を受けることができる良さもあります。いずれにせよ、自分の学部学科の特性と企業が求める人材の在り方をしっかりと見据え、就職活動を進めていけばいいでしょう。
(角野 裕美/キャリアカウンセラー)