1歳~6歳の子どもを持つ母親の8%がわが子にサプリメント
厚生労働省研究班が行った調査によると、1歳~6歳の子どもを持つ母親の8%が、わが子にサプリメントを飲ませていることがわかりました。その中でも、約1割は0歳のときから与えていたとのことです。
「子どもに好き嫌いが出てきたので、栄養不足などを心配した」「健康に良さそうだから」といったことが理由として挙げられていたようですが、母親からは「製品名や成分を答えられない」といった回答があったことも明らかにされています。
乳幼児や成長期の子ども、大人に関係なく、健康な体を作るためには正しい食生活、生活習慣が大切です。栄養のことを考えて、乳幼児にサプリメントを与えることは個人的には決して否定的ではありません。しかし、品質を保証できる良質なもの、そして、適切なアドバイスができる薬の専門家のもとでの購入し服用しなければより良い効果にはつながりません。
3歳までの味覚や食生活が、一生の生活を決める
幼児期は「楽しい食生活=正しい食生活」ということを学んでいく時期です。3歳までの味覚や食生活が、その人の一生の食生活を決めるといわれています。
家族みんなで食事をいただく楽しさ、野菜の彩り、味の複雑さ、肉や魚のパワーを舌で覚えていく大切な時期なのです。
偏食になるとサプリに頼ることがありますが、乳幼児の食生活は、栄養をとって健やかに成長することのほかに、将来に偏食にならないための食教育としても大きな意味があります。食が乱れると生活習慣病になる可能性も増えるほか、心の健康にも影響すると言われています。また、偏食は人間関係にも大きく関わってきます。好き嫌いの激しい子どもは、ひとつのものにこだわりやすく、ゲームにはまりやすいという統計もあります。
食べ物をかむことで豊かな味覚や表情を育てる
もうひとつ、サプリにはない食事をすることの意義、それは「咀嚼(そしゃく)=かむ」です。「かむ」という行為は、サプリにはできません。食べ物をかむということが、とても大切なのです。かむことで歯やあごを鍛え、胃腸を育て、脳を活性化するのです。かむということは、生きる力を生み出すといっても良いと思います。
私が会った30代の男性はかむことが苦手で、玉子かけごはんやラーメンなど、やわらかい食事を好んでいました。彼は胃腸が弱くて体力がなく、精子の状態もかなり悪い値でした。
体を作る基礎になる乳幼児の食事は、将来を決めるのです。よくかんで食べると、だ液がたくさん出て口の中を潤し素材の味をしっかりと感じることができます。これにより、味覚を育てることができます。また、かむことで口の周りの筋肉を動かすので表情が豊かになるほか、満腹中枢が働き食べ過ぎを防ぐことができるので肥満予防にもなります。
このようなことをふまえ、食や栄養について今一度見直してみてはいかがでしょう。
(小林 潤子/薬剤師)