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会社のお荷物にならないために…高めるべき「エンプロイヤビリティ(雇用される能力)」

JIJICO 2015年6月3日 10時0分

Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせたエンプロイヤビリティ

「エンプロイヤビリティ」という言葉を知っていますか?エンプロイヤビリティとはEmploy(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた用語で、簡単に言えば「雇用される能力」という意味であり、厚生労働省の調査研究では次のように定義されています。

A 職務遂行に必要な能力(専門知識、技能などの顕在的なもの)
B 協調性、積極性など職務遂行にあたり、各個人が保持している思考特性や行動特性に関わるもの
C 潜在的能力(動機、人柄、性格、信念、価値観など)

なぜ今、このような能力が各個人に強く求められているのでしょうか?近年の産業構造の変化、技術革新の進展、情報処理のIT化、就業形態の多様化などに伴い、リストラや離職率が増加していること、また1990年代から続いた経済の低迷や労働力の高齢化による「終身雇用制度」の崩壊も背景にあるのでしょう。「入社したら安泰」の時代はすでに終わっており、労働者には「社内でも社外でも活躍する力」を身につけることが求められています。

将来に不安を抱く若者や女性が数多く存在

エンプロイヤビリティと聞くと、「転職するための能力」とイメージする人も多いようです。平成24年度の若者を対象とした厚生労働省の調査では、「会社が倒産したりしないか不安」70.5%、「リストラされないか不安」69.4%、「何歳まで働けるか不安」67.1%など、将来に対する不安を強く示す結果となっています。

不安を持っているのは若年層だけではありません。総務省の労働力調査によると、働く女性の職種で最も多いのは「事務従事者」の29.3%であり、働く女性の3人に1人が事務仕事に就いていることになります。40代女性の事務従事者は27.7%となっており、その73%が「仕事に不安や不満がある」と回答しています。

某転職サイトの調査では、転職経験者が25歳~29歳では35.3%、30歳~34歳で59.9%、35~39歳で53.5%、全体では52.5%。つまり2人に1人は転職経験があることになります。これらを見ると、エンプロイヤビリティが転職するための能力と捉えられているのもうなずけます。

「会社のお荷物」と呼ばれないように、能動的な姿勢を

仕事をしていて、まったく不安がない人の方が少ないのではないでしょうか?また不安があるからこそ、解消しようと考えたり知識を身に着けようと勉強したりできるのですから不安を持つこと自体が悪いことではありません。

前述のように「将来に不安がある」と回答した40代女性は、「会社のお荷物」と呼ばれることがないよう、自主的にエンプロイヤビリティを身につける必要があります。エンプロイヤビリティは「誰か(会社)」に身につけさせてもらうものではありません。ただ日々の業務をこなすだけでは不十分です。「自分は将来どうなっていたいのか?」「叶えるためにはどんな能力が必要なのか?」「その能力を得るにはどうしたら良いのか」といったことを考えることが必要です。

自分の市場価値をどのように高めていくか

目的がないままに勉強をして資格を取るのではなく、自分に必要な能力を明確にした上で、社内の研修制度やプライベートの時間を利用して学習をするとよいでしょう。講座の内容にもよりますが、雇用保険に加入しており要件を満たしていれば10万円を上限に、払った費用の2割を援助してくれる教育訓練給付金制度もあります。自発的・能動的に仕事と向き合えば、日々の業務にも色が加わり見え方も変わってきます。

エンプロイヤビリティを身に着けるのに早いも遅いもありません。世代に関わらず、これからは「自分の市場価値をどのように高めていくか」ということに、つねに意識を持つことが重要です。

(大東 恵子/社会保険労務士)

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