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ケーキやクッキーも要注意、トランス脂肪酸に動脈硬化や心臓疾患のリスク

JIJICO 2015年6月7日 18時0分

過剰に摂取すると動脈硬化や心臓疾患などのリスクを高める

心臓病の原因になるとして、世界的にトランス脂肪酸の規制が広がっています。トランス脂肪酸は「質の悪い油」「プラスチック油」「超悪玉」などと言われていますが、人体にはどのような影響を与えるのでしょうか。

トランス脂肪酸は、血中の善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やす特性があるとされ、過剰に摂取すると動脈硬化や心臓疾患などのリスクを高めるとの報告もあります。また、国際連合食料農業機関および世界保健機構による報告書では、心血管系疾患のリスク増加につながる確証的な根拠があるものの中に「トランス脂肪酸」の記載が示されています。

ただし、これはトランス脂肪酸を過剰摂取した場合です。トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは欧米人を対象にしたもので、日本人の場合にも同じ影響があるのかどうかは明らかではありません。

マーガリンやショートニングに含まれているトランス脂肪酸

トランス脂肪酸は、おもにマーガリンやショートニングに含まれ、これらを原料として製造される食品、加工品などにも含まれます。

「うちでは、マーガリンを使っていないから大丈夫」と思っても安心してはいけません。食パンには大抵マーガリンが配合されていますし、クッキーやビスケット、ケーキなどにはショートニングが使われていることが多いのです。また、一部のマヨネーズやドレッシング類、植物性のホイップクリーム、冷凍食品、ファストフードやから揚げ、トンカツ、ドーナッツなどの揚げものにも含まれています。

意外と知られていないのは、トランス脂肪酸は人工的に作られたもののほかに、天然に存在するものもあります。牛や羊などの反芻(はんすう)動物では、胃の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸が作られるため、牛肉や羊肉、牛乳、乳製品にも微量のトランス脂肪酸が含まれています。また、どんな油でも高温で加熱をするとトランス脂肪酸が生成すると言われています。

ケーキやクッキーなどを食べる女性は摂取量が多い傾向に

世界保健機関が推奨するトランス脂肪酸の摂取量は、1日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満とされています。農水省のホームページによると、日本人の場合は1日2g未満が見安とされています。

また、2010年に学術誌で公表された調査論文によると、国内で225人(30~69 歳)を対象に実施された16日間の食事記録から摂取量を推定したところ、トランス脂肪酸の1日当たりの平均摂取量は、女性で1.7g/日(摂取総エネルギーの0.8%)、男性で1.7g/日(同0.7%)でした。摂取量を超えていたのは、男性5.7%、女性22.7%。特に30~49歳の女性に多く、食事内容を見ると、ケーキやクッキー、菓子パンなどの摂取が多い傾向にあると記載されています。

病気のリスクを高めるのはトランス脂肪酸だけではない

「加工品や菓子類などをよく食べる」「外食が多い」「揚げものを頻繁に食べる」という人は、1日のトランス脂肪酸の最大摂取量を超えてしまう場合もあるため、注意が必要です。日本では、トランス脂肪酸の表示義務がないためわかりにくいですが、「マーガリン」「ショートニング」という記載があるものはなるべく避けるようにしましょう。

しかし、悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化や心臓疾患、アレルギー症状などのリスクを高めるものはトランス脂肪酸だけではありません。天然の油でも、摂り過ぎれば健康被害の影響はあります。トランス脂肪酸だけを目の敵にするのではなく、バランスのよい食事を心がけましょう。

(小針衣里加/料理研究家)

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