大学生ら12人がねずみ講被害を訴えて京都地裁に集団提訴
大学生ら12人が大阪のインターネット関連会社からねずみ講被害を受けたとして、京都地裁に集団提訴しました。ねずみ講とは無限連鎖講の俗称で、親会員から子会員、孫会員とネズミ算的に会員が増殖することから、そのように呼ばれています。
このねずみ講、「無限連鎖講の防止に関する法律」という法律により禁止されています。同法では、無限連鎖講を「金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう」と定義しています。
なぜ大学生が頻繁にねずみ講などの被害に遭うのか
冒頭の裁判では、被告となるインターネット関連会社が上記定義に該当するかどうかが争点になると思われます。また、こうしたねずみ講には該当しなくても、大学生の多い東京や大阪・京都などでは、マルチ商法の名を借りたねずみ講的ビジネスにより、多くの大学生が損害を被っているようです。各大学でも、大学のホームページなどで被害防止を呼び掛けています。
それでは、なぜ大学生が頻繁にねずみ講などの被害に遭うのかを考えてみます。大前提の話ですが、こうした契約については、未成年者が単独で行えば後で取り消すことができます。それを考慮すると、業者は20歳以上の大学生に狙いを定めていると予想できます。遠い昔になりますが、筆者も20歳を迎えた途端、携帯電話に「着物を買いませんか?」という電話がかかってきたことを思い出します。すなわち、業者の間で大学生の個人情報が流れている可能性が考えられます。アンケート調査と称して個人情報を取得している場合もあるため、十分な注意が必要です。
契約から20日以内であれば無条件で解除できる
また、一概には言えないものの、大学生は経験を積んだ社会人と比べて社会経験、警戒心ともに劣り、悪質な業者からすれば取り込みやすいと思われているのでしょう。また、大学生というコミュニティーの中で多くの友人関係を形成しているため、一人を取り込めば二人、三人と次々に勧誘できます。もちろん、勧誘の方法も巧みなのでしょう。大学生の自尊心をあおり、成功者(とする人物)が莫大な利益を上げている様子を見せ、初期投資として必要な金額もアルバイトをすれば何とか返せると思える金額に設定しているものと思われます。
こういったマルチ商法については、「特定商取引に関する法律」という法律により、契約から20日以内であれば無条件で解除できます。また、その期間を過ぎたとしても解約の上、返金を求めることができる場合があります。一人で悩まず、近くの消費者センターや弁護士に相談してみてください。
(河野 晃/弁護士)