非正規で働く多くの人が正社員の半分以下しか収入を得ていない
国税庁による「民間給与実態統計調査」によれば、平成24年度の非正規雇用で働く男性の平均年収は225万円。正規雇用の場合は、502万円となっています。つまり、非正規で働く多くの人が正社員の半分以下しか収入を得ていません。最近の男性は結婚願望が薄いと言われるのも、ある意味当然のことだと考えられます。
総務省統計局の労働力調査によると、日本で25歳から34歳までの後期若年層男性の約10%にあたる約80万人が完全失業者となっており、非正規で働く300万人と合わせれば、この年代のおよそ半数になります。また、平成22年度の国勢調査によれば、この年代の男性のほぼ50%が未婚というデータもあります。もちろん、正規雇用で働く高収入の男性もこの未婚率に含まれていますが、それにしても上記の統計とぴったり符合する数字ではないでしょうか。
多くの男性は結婚願望を持っている
収入の低さなどが原因で、男性たちが結婚願望を抱くことができないことに対して「ある意味当然だ」と前述しましたが、本当に結婚する気持ちがないのでしょうか。これについては、参考となる統計が存在します。「ニッセイ基礎研究所」発行の「ニッセイ基礎研Report」2013年2月号によれば、18歳から34歳の未婚男性のうち、86%ほどが「いずれ結婚するつもり」と回答しています。おそらく24歳までの前期若年層が、後期若年層よりも高い割合で結婚を希望していると予測できますが、それでも多くの男性は結婚願望を持っています。
「本当は結婚したい。しかし、今の生活状態では絶対に無理…」。キャリアカウンセリングに訪れる就活中の男性からも、そのような声をよく聞きます。気の毒に思いますが、それでも交際している相手がいれば、頑張る動機になります。問題はそのような動機すら持つことができない、「スネップ」と呼ばれる人々です。
「スネップ」は20歳から59歳まで160万人も存在
「スネップ=孤立無業者」の意味で、東京大学の玄田有史教授が「孤立無業の実態」と題するレポートをまとめています。単に失業中というだけでなく、社会との関わりすら最低限しか持たないような暮らしを長期にわたり続ける「スネップ」な人々は、外で行う活動に対する意欲も低く、出会いにも恵まれません。そして、そのままどんどん高齢化していきます。このような男女が、20歳から59歳までで160万人ほどいるそうです。
結婚してもしなくても、それは個人の選択です。ただ、この選択が「仕方ないから」といった諦めの結果でなく、充実した人生設計を考えた結果であってほしいものです。そのためには、できる範囲で社会と関わりを持ち、さまざまな人から刺激を受け、自分なりの行動を起こすことが必要です。行動なくして、変化はありません。目標を持って行動すれば、必ず結果がついてきます。少し勇気を出し、一歩を踏み出してみましょう。
(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)