社会は競争が多く成果を求められるのが現実
近年、運動会に順位づけをしないことなどの是非が、話題にあがることがあります。私が小さい頃は、第二団塊世代ということもあり、子供が多く競争だらけでした。そうしたことが当たり前の中、少子化により、昔と比べて親が我が子に自分の気持ちを投影することが増え、競争やリスクの排除が多くなっているようです。
ところが、社会は競争が多く「成果」というものを求められるのが現実です。そして、成果がハッキリする世界の一つがスポーツです。先日、女子サッカーのワールドカップが開催され、日本対イングランドでオウンゴールを決めてしまった選手に、「衝撃」と「同情」が集まりました。勝負事というのは時に残酷です。
「スポーツマンシップ」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、フェアプレー、全力を尽くす、勝とうと努力する精神などを指します。勝負の世界においては、勝者がいれば敗者がいます。負けたときには、どう気持ちを切り替えたらよいのでしょうか。
負けたときはちゃんと悲しみ、悔やむことで気持ちを切り替え
最初から負けると思って、勝負する人はいないでしょうし、もしいたとしても心の底ではそれまでの努力や頑張ってきた過程がよみがえり、悔しい思いをするでしょう。そんなとき、我慢することがよいのでしょうか?
いえ、違います。泣いたり悔しがることが、とても大切なのです。場面は違いますが、大切な人との別れも同様です。悲しむ、悔やむという感情に対して、ネガティブに感じるがゆえに我慢してしまうことがあるかもしれませんが「ちゃんと悲しむ、悔やむ」ということができてこそ、気持ちの切り替えは早くなるのです。
気持ちというものは見えないので、我慢すれば消えてしまったのかと思いますが、決して消えはしません。心の奥底で沸々と存在するのです。ですから、表現することは新しい自分に向かう儀式なのです。
感情を表現する、相手に敬意を持つ、全力を尽くすことを大切に
自分に勝った相手は、自分を負かした相手です。そんな相手に対して、どんな感情を持ったほうがよいのでしょうか。みなさんは嫌いな相手や、憎む相手から学べますか?では、尊敬できる相手からは?きっと尊敬できる相手からのほうが学べます。
ならば、相手を尊敬しましょう。尊敬し敬意を抱いた場合は、相手から何かを学べるはずです。相手から何かを学べた自分は、今回の勝負を糧にまたチャレンジすることができます。
1)感情を表現する
2)相手に敬意を持つ
3)全力を尽くす
勝敗も大切ですが、途中で諦めたりいい加減になったりせず、本気で全力を尽くしたときの「負け」というのは、次に生きる価値があることなのです。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)