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後継者は社内抜擢か外部から招へいか、後継者に期待すること

JIJICO 2015年7月10日 13時0分

ソフトバンク・孫正義氏の後継者をGoogleから招へい

企業は「ゴーイング・コンサーン」と言われる通り、「永続すること」が最大の課題です。いくら急成長を遂げても、企業が倒産すれば多くのステークホルダーに迷惑をかけることになります。

顧客や関係業者、上場していれば株主に損失を与えるだけではなく、その企業で働く社員は収入がなくなりますから、その家族にも多大な影響が及んでいきます。企業の命題が「永続」だとすれば、事業をどのように次世代に承継していくかは、経営者の最大の責任と言えるでしょう。自分の後を引き継ぎ、企業をさらに成長・発展させることができる後継者を育成することは、一朝一夕に解決できることではありませんが、経営者が常に意識し長期的に取り組んでいくべき課題です。

先日のソフトバンクの決算発表会で、孫正義氏は自身の実質的な後継者として、Googleの元・上級副社長のニケシュ・アローラ氏を指名。外部から招へいした人物が後継者として指名されたことで大きな話題となりました。後継者を「自社内から抜擢」か「外部から招へい」のどちらの方が、企業の永続に貢献するのでしょうか。

自社内抜擢の後継者にはないイノベーションに期待

後継者を「自社内から抜擢」するのも「外部から招へい」するのも、双方にメリットとデメリットがあります。

自社内から後継者を抜擢する最大のメリットは、自社の事業内容を熟知した経営者が誕生することです。長年にわたって自社で仕事をしてきたことで、事業への愛着や顧客とのコネクション、社内政治力を持った経営者が舵を切ることは、事業承継をスムーズに実施できる利点があります。その反対のデメリットとしては、大胆なイノベーションを期待できないことでしょう。やはり、前任の経営者の方向性を踏襲した経営スタイルになるケースが多くなります。

後継者を外部から招へいするメリットとしては、社内の経営資源では実現できないようなイノベーションが期待できることです。ソフトバンクのように事業の成長志向が強い企業では、ニケシュ・アローラ氏のような外部人材が適切だと判断したのかもしれません。デメリットは、後継経営者の経営スタイルが企業文化に合わない場合、企業が空中分解する可能性も考えられます。また、プロパー人材からすると、外部から招へいされたトップに従うことが面白くないという心理も発生します。

中小企業では負の遺産を引き継ぐことが事業承継の障害に

中小企業で事業承継が困難な理由としては、事業承継によって「負の遺産」を引き継がなければならないことも挙げられます。要するに、連帯保証の付いた借入金です。これら負の遺産を含んで事業を引き継ごうとする人材が、オーナー一族以外から現れることは、非常にまれです。

このように、どちらのケースでもメリット・デメリットがありますが、確実に言えることは、「早めに考えておくことが大切」だということです。後継者育成は、非常に時間がかかります。そのことを肝に銘じて、引退がまだまだ先でも取り組み始めることが、企業経営者の責任と言えるでしょう。

(福留 幸輔/組織・人事コンサルタント)

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